妹…12 (短編ハードボイルド)
須藤と亮介が乗っていたランドクルーザーを見つけた吉田。
須藤と亮介に神栄商事を潰された報復の為、吉田は部下に片っ端から電話をかけて7人の部下が集まろうとしていた。
そんな吉田の動きを読んだ亮介は、須藤の舎弟である兼子にその事を話すと、兼子は新田興業の組員を遠藤医院に呼び寄せるのだった。
『兼子さん、俺が言ったことは推測でしかないんですけど…もし、吉田が来なかった場合…』
亮介はそこで言葉を濁らせた。
『そんなこと気にするな。
今ここに向かってるうちの連中も須藤の兄貴の為に来るようなもんだからさ。
うちの連中が来たら、俺は二人連れてランクルでその辺で乗り回してるから。
吉田が、もしランクルに食い付いたら埠頭まで引っ張っていくつもりだ。
この病院でも騒ぎは起こしたくないからな。
ここにはもしもの時の為に残りの組員残しておくから、お前は心配するな』
兼子の言葉に亮介は頭を下げた。
その頃、警察では刑事である黒田の拳銃を奪い黒田を撃った吉田の行方を追っていた。
黒田と吉田の関係は記者の伊丹によって、既に暴かれていた。
黒田は、吉田が銃を持っている可能性もあるので、防弾チョッキを着ていたため、吉田に撃たれたときは気を失っていただけだった。
黒田は吉田を呼び出して、自分との関係の口封じをするために吉田の殺害を企てていたことも黒田は自供したのだった。
新聞記者の伊丹によって暴かれた警察の不祥事は、警察上層部にも隠蔽は出来ないほどに証拠が揃っていた。
一方、警察は黒田の拳銃が奪われ、黒田警部補が撃たれたことで、吉田の行方を追いつめるべく、所々で検問が行われていた。
そんな中、吉田の部下達は検問を避けながら集まったのだった。
部下の中には元ギャングがいて、吉田の手引きで須藤と佐久間亮介を捕らえた者には300万の報酬が貰える、とギャング連中に伝えろ、という吉田の指示で、元ギャングの部下はギャング仲間にそれを伝えると、その話に報酬目当てで乗ってきたギャング仲間が13人加わり吉田の元へ集まるのだった。
『いいか、これから行く遠藤医院という所には須藤という男と佐久間良介という男がいるはずだ。佐久間の妹もここに居ると思う。3人の顔はお前分かるよな?』
吉田はそう言って部下の一人に顔を向けた。
『えぇ、3人とも顔は覚えてます』
『お前は?』
吉田はもう一人の部下に目を向けた。
『もちろん分かります。今度こそ、あの二人を取っ捕まえて半殺しにしてやりますよ』
二人は須藤と良介に対して強い恨みを抱いていた。
『じゃあ、お前ら二人にあと二人着いて3人を探せ。運転手は車で待機。残りは俺と行動しろ』
吉田は自分の部下達に言ってから、ギャングの連中を見た。
『お前らも運転手は車に残して、奴等が持ってる800万を捜しだせ。
そこからお前らの報酬300払うから隈無く捜してくれ。
他に金目のものがあったら奪っちまえ。
それもお前らの報酬だ』
ギャングの連中はそれぞれ顔を見合わせてニヤリと笑い頷いた。
『よし、じゃあ行くぞ』
それぞれが4台のワゴン車に乗りこんだ。
吉田は黒田の車を棄て、部下のワゴン車に乗り、吉田が乗った車を先頭に遠藤医院へと向かうのだった。
遠藤医院では、兼子が新田興業の組員を待っていた。
兼子は遠藤医院に向かっている組員に電話をかけた。
『おぅ、俺だ。後どれくらいで着く?』
「あと15分くらいです」
『わかった』
兼子は電話を切り良介に組員が着く時間を伝えた。
『じゃあ良介。そう言うことだから、俺ランクルに乗って俺の舎弟達が来るまで待ってるよ。ランクルの鍵貸してくれ』
『俺、持ってないです』
ポケットに手を入れて探したが亮介は持っていなかった。
『あっ、悪りぃ。俺が持ってた。さっき俺が駐車場に入れたんだった』
そう言って兼子は自分の上着のポケットからランドクルーザーの鍵を手にとり外へ出ていった。
院内では、琴音と由美が待合室で話をしていて、亮介は立ち眩みがするので、待合室の長椅子に寝転んでいた。
須藤は麻酔から覚めかけていたのだった。
それから5分経った頃。
遠藤医院の前に4台のワゴン車が止まり、ぞろぞろと男達が降り立った。
街灯に映る顔は兼子にも見覚えのある連中だった。
『チッ、めんどくせぇ奴等だな』
それを見ていた兼子は呟きながら助手席に置いてあったバットを手に取り、ランドクルーザーから降りた。
『おいおいこら、ギャング小僧が揃って夜にみんなで仲良くピクニックか?』
兼子の存在に気付くと、ギャング連中は敵意を剥き出すと同時に一歩引くのだった。
それもそのはずで、ギャング連中の薬の売買を尽く邪魔をしている新田興業の幹部、兼子だからだ。
『お前らここに何しに来た…』
兼子は一歩二歩と前に出た。
兼子に怯む者もいれば敵意を向けてくるの者もいた。
『何でおっさんがここに居るんだ?』
『いちゃ悪いか?』
兼子は更に二歩ギャング連中に詰め寄った。
『誰だあいつ』
吉田が怪訝な目で兼子を見た。
『新田工業の兼子って野郎です』
側にいた吉田の部下が耳打ちした。
『薬の売買を邪魔してる奴等か…。奴の事はあいつらに任せとこう。俺達が金を見つければ奴等に報酬渡さなくてもいいしな』
『いや、そんなことしたらあいつらも黙ってないですよ?』
『ばか、冗談だよ。とにかく中に入って須藤と佐久間取っ捕まえようぜ』
そう言って吉田が遠藤医院の入り口へ行こうとしたとき、兼子が吉田を呼び止めた。
『おっと、そこの兄さん。中に入るんじゃねぇぞ』
兼子がつかつかと吉田に近付いた。
『あんたに用はねぇんだ。横から口出すんじゃねぇよクズ』
吉田が兼子を睨み付けた。
『礼儀の知らねぇ野郎だな。この不良少年達を連れて歩いてるとこ見ると、あんたら神栄商事の者か?』
『だったら何だよおっさん。じじいは家に帰って早く寝ろよ』
吉田の部下の一人が言うと、皆が笑いだした。
『神栄商事の吉田ってチンケな野郎ここに居るのかな?』
兼子は吉田に顔を近づけて言った。
『チンケとはご挨拶だな』
吉田が拳銃を抜いて兼子の腹に突き付けた。
『おー、やっぱりあんたがチンケな吉田か。そんなオモチャ何処で手に入れたんだよ。危ねぇぞ?』
その時、外のざわつきに気付いた由美がドアを開けて、外に顔を出した。
一斉に皆が遠藤医院の入り口を見た。
『あの女を捕まえろ!』
吉田の声と同時に兼子も叫んだ。
『ドアを閉めろ!』
由美は慌ててドアを閉めて鍵をかけた。
その音で目が覚めた亮介は、寝転んでいた体を起こした。
突然起き上がった良介に激しい目眩が襲うのだった。
続く。。。
どもです♪(*´∇`)ノ
一昨日辺りから咳が止まらない
美香ちゃんどす😷
しかも頭痛が酷い…((〃´д`〃))
熱が出たらヤバイな…と思うこの頃😃💦
ということで…
更新遅くなりました(´ε`;)ゞ
予想外に早く来ちゃった吉田くん(^^;
兼子は一人で守りきれるのか…
由美と琴音もピンチ。
兼子さん、仲間が来るまで踏ん張って!
意地でも立ち上がれ良介!
てことで…
次回は早めに更新できるよう頑張ります♪
今日も最後までお付き合い
ありがとうございました♪
また来てね♪(@^^)/~~~
今回の選曲♪
【戦士の休息】町田義人
いつも応援ありがとうございます♪
お帰りの際に気が向いたらぽっちり一押し
宜しくお願いします♪:*(〃∇〃人)*:

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