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妹…11 (短編ハードボイルド)


神崎の電話を使った由美からの通話で、携帯会社へ盗難と告げ、発信地の特定を問い合わせた吉田は、由美の居る場所をある程度突き止めたのだった。

大雑把な発信地のエリアへと向かう吉田。

30分程で、吉田は由美が神崎の電話を使ったエリアに入った。

『この辺りの何処かにいるはずだな…』

吉田は、由美が見つかるとは思っていなかったが、由美が神崎の携帯を使ったエリアを当てもなく車で走り回っていた。

そして吉田は、見覚えのある車を見付けたのだった。

『あれ?このランドクルーザー…。ナンバーも間違いねぇ』

見覚えのあるランドクルーザーで、何となく覚えていたレンタカーナンバー。

『奴等ここにいるのか?』

吉田は遠藤医院の建物を見上げた。

そして少し離れた場所へ車を移動させて携帯を取り出し、自分の部下たちに片っ端から電話をかけた。

繋がったのは10人だけだった。

その10人を、須藤と亮介への報復として、吉田がいる場所へ呼び寄せようとしたが、吉田の話に乗ってきたのは7人だけだった。

たった二人に30人もやられたことで、比較的軽傷の7人は須藤と亮介に対して、復讐への闘志を燃やしながら吉田の居る場所へと向かっていた。



一方遠藤医院では、亮介が少し赤みを取り戻した顔で自分が持っていた神崎のバッグを探していた。

『おっ、少し元気になったのか?』

治療室の隣にある診察室で寝ていた亮介が待合室に入ってきてキョロキョロしているのを見て、待合室にいた兼子が声をかけた。

『はい、少し気分よくなりました』

そう言ってバッグを探し部屋を見回す亮介。

『どうした?何か探してるのか?』

『えぇ、バッグと上着置いてありませんでした?』

『あぁ、亮介の荷物なら由美ちゃんが持っていったぞ』

兼子は、そう言って天井を指差した。

『そうですか。ちょっと2階に行ってきます』

『うん』

兼子に頭を下げて、既に外は暗くなっていて、亮介は2階へ繋がる薄暗い階段の電気を着けて上がっていった。

2階に上がると廊下は明るく、4部屋ある病室の一つに灯りが着いていた。

亮介は灯りの着いた部屋のドアをノックした。

『はい』

由美の声が聞こえた。

『由美、入っていいか?』

『お兄ちゃんか。入っていいよ』

ドアを開けて部屋に入る亮介。

『どうだ?体の具合は』

『うん、少し気分はいいよ。先生のお陰で薬が欲しくなっても我慢できるようになってきた』

『そうか、良かった。もう少しここで頑張っててくれよ』

血色を取り戻してきた亮介の顔は、優しい兄の笑顔になった。

『その血、須藤さんの血なの?』

亮介の服の所々に付いている血を見て由美が言った。

『あぁ、そうだ。でも、須藤さんももう大丈夫だよ。切れたとこ縫ったからな。出血も止まったよ』

『何であんな酷い怪我したの?お兄ちゃんも痣だらけだし…吉田が関係してるんでしょ?』

『まあな…吉田から由美の慰謝料と、鈴の音の修理代をくれるって言うから貰ってきたんだ』

『あのお金がそうなんだ…』

『中見たのか…。そうだ、お前に300万、鈴の音の修理代が500万ある。琴音ママにも500万渡したいからさ…。バッグ何処にある?』

『此処にあるよ』

由美はベッド脇の小さな机の下からバッグを取り出した。

『アタシ、吉田に復讐してやろうと思って吉田に電話したよ。本気で殺してやろうと思った』

何処から持ち出したのか、由美は手術用のメスを亮介に見せた。

『バカなこと考えるな!吉田は今、刑事を撃って逃げてるんだぞ!絶対奴に近付くな!あいつの事は俺と須藤さんに任せとけ。分かったか?』

『須藤さん、あんな怪我してるのに…あっ、それで兼子さんが来てるの?須藤さんの代わりなの?』

『そんなとこだ。須藤さんは自分が動けなくなったから、後の事を兼子さんと俺に任せたんだよ』

『まだ何かやるつもりなの?お兄ちゃんも怪我するかも知れないじゃん!もう辞めて?お金も貰ったんだからもういいじゃん』

『そうもいかないんだ。吉田に撃たれた刑事も金で動く悪党なんだ。
金さえ貰えれば吉田のような奴に平気で拳銃を横流しするような刑事だからな。
今、須藤さんの知り合いの新聞社と協力して、刑事と吉田の繋がりを警察が隠蔽しないように証拠を集めてるんだ。
途中で投げ出すわけにはいかないんだよ』

そう言って亮介はバッグから300万を取り出し、由美に渡した。

『俺が由美を助けた時、神栄商事の奴等ぼこぼこにしたろ?』

『うん』

『あの事件で、俺は指名手配になってるんだ。
そして俺は妹をこんなにした吉田が許せなかった。
須藤さんも神栄商事の連中が鈴の音をメチャクチャにしてママに怪我をさせた事が許せなかった。
吉田を取っ捕まえて、吉田から由美の慰謝料と鈴の音の店の修理代を貰ったんだ。
逃げた吉田を捕まえてその後、俺と須藤さんは自首するつもりだよ。須藤さんと二人で神栄商事の事件を起こしたんだからな』

『そんなの嫌だよ…アタシのせいでお兄ちゃんが警察行くなんて…嫌だよ…』

『由美のせいなんかじゃない。全て吉田が悪いんだ。俺と須藤さんを怒らせた吉田が全て悪い。奴も一緒に警察に連れていかないと俺も安心して警察に行けないからな』

そこまで言って、亮介は神埼の携帯の電源が入っていることに気がついた。

『あれ?電源が…、あっ、さっき吉田に電話したって言ってたよな?この携帯で電話したのか?』

『う、うん…いけなかった?』

『俺のスマホで電話したのなら問題ないけど、この電話、神栄商事の奴の電話なんだ。
吉田は俺と須藤さんを探しているはずだからな。
神栄商事の携帯だと、携帯会社に問い合わせれば大体の場所が分かっちまうんだ…。
不味いな…』

『ごめんね、余計なことしちゃって…』

『仕方ないさ、由美も吉田が憎いんだろ?復讐したかったんだろ?後は俺に任せとけ。もしも警察が来たら金の事は絶対に口にするなよ』

『分かった』

『うん、じゃあ下に行って兼子さんに話してくる』

そう言って、亮介は部屋を出て一階にいる兼子の所へ行った。

『兼子さん、もしかしたら近くに吉田が居るかも知れないです』

『何でわかるんだ?』

亮介は由美が神栄商事の携帯を使って吉田に電話したこと、それで大体の発信場所が分かってしまうことを兼子に話した。

『なるほど、そんなことが出来るのか。どのみち、奴一人だけだろ?』

『分かりません。俺と須藤さんでぶちのめした神栄商事の奴等とは別に、他にも居ますからね。それに吉田は拳銃を持ってるから油断ならないです』

『そうか…。この病院は警察には知られたくないしな。
さっき帰したうちの若い奴等呼び戻すよ。
まだそんなに時間経ってないしな。
吉田は亮介と兄貴が乗ってきたのランドクルーザーのこと知ってるのか?』

『知ってるはずです』

『うちの若い衆が戻ったらランクル運転させて囮に使おうぜ。
この病院から奴等を遠ざけないとな。
俺も一緒に乗って人気の無い場所に誘い出して吉田の野郎とっちめて連れて来るからさ。
この病院の周りにはうちの若い奴等数人見張りに着けておくから心配するな』

そう言って、兼子は輸血で来ていた3人と元々いた二人を呼び戻した。

更に新田興業へ電話して数人の組員を呼び寄せるのだった。

兼子と共に竜神会にいた者達が、須藤の兄貴の為なら、と10人来ることになった。

新田興業社長の新田竜二も、決して遠藤医院には迷惑をかけないようにと言って、快く了承してくれたのだった。


その頃、吉田の元へ7人の部下が集まりつつあった。



つづく。。。



どもです♪(*´∇`)ノ

今回は少々短めな文章にしました。

本当は、新田興業VS神栄商事の乱闘を書こうと思っていましたが、またもや長文になる可能性があったので次回に回します。
ちょっと目がお疲れ気味なところもあるので😃💦

兼子の囮作戦は上手くいくのか…。

吉田と神栄商事の連中が遠藤医院に来るのと、新田興業の組員が遠藤医院に来るのは、どちらが早いのか…。

次回もお付き合いいただきたく
お願い致します♪

今回も読んでくださりありがとうございました♪

また来てね(@^^)/~~~

今回の選曲♪

【兄弟仁義】北島三郎
須藤と兼子の関係を重て下されば
嬉しいです♪

いつも応援ありがとうございます♪
お帰りの際に気が向いたらぽっちり一押し
宜しくお願いします♪:*(〃∇〃人)*:
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テーマ : ハードボイルド
ジャンル : 小説・文学

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Re:godmina様へ♪

minaさま、いつもブログ訪問ありがとうございます♪

これから一騒動あります(*^-^)

その後、もう一騒動あるかもしれません(^^;

そして…え~、何でこうなるの?という出来事があるかも?しれません(*^-^)

まだどうなるかわかりませんが(^^;

吉田の報復は次の回で終わるのか…

終わらせたくない私もいるのは確かです。

ただ、どうなるかわかりません(*^-^)


兄弟仁義は、須藤と兼子をイメージして選曲してみました♪

兄弟仁義、渋いですね♪

コメントありがとうございました♪

No title

美香さん、こんにちは。
これは絶対に長くなるなと感じました(笑)
後ひと騒動、ふた騒動くらいは美香さん書くだろうなと。
絶対に吉田は許しちゃいけない鬼畜ですわ。
鉄槌を下してやって下さい(笑)
これからも楽しみです。
あっ、ゆみちゃんは動かないように言って下さいよ。
女が動くとろくなことが起こらないから(笑)
サブちゃんの「兄弟仁義」をアップする辺り
流石美香さんだなぁ。
うちの店では漢気のある方々が「兄弟仁義」歌うなぁ(笑)
美香さん、今後も期待してます。

Re:ももPAPA様へ♪


ももPAPAさま、いつもブログ訪問ありがとうございます♪

須藤さんの命は、亮介、琴音、新田興業の組員と遠藤医師に助けられました。

病院内での、ほんの一時の休息。
由美が吉田への恨みを晴らそうと、吉田へ電話したことで、亮介と須藤の居場所を知られてしまいました。
しかし、亮介は吉田の動きを読んで、亮介の考えに乗った兼子が遠藤医院にも迷惑をかけないよう組員を呼び寄せています。

このあと、神栄商事と新田興業の抗争となります。
その抗争の行方は…(*^^*)
ワタクシも、この抗争で決着を着けたいと思っています(*^-^)

コメントありがとうございました♪

Re:がちょー様へ♪


がちょーさま、いつもブログ訪問&コメントありがとうございます♪

神栄商事の吉田は、亮介と須藤への報復。
新田興業の兼子は、吉田の動きを読む亮介の考えに乗り、組員を遠藤医院へと呼び寄せています。

この後、神栄商事VS新田興業の争いとなります。
須藤と亮介の二人にやられた神栄商事ですからね。
須藤が竜神会に居た頃の須藤の舎弟ばかりなのですが…。
果たしてどうなるか…(*^^*)

たけしさんの、アウトレイジの迫力…欲しいですね~。

コメントありがとうございました♪

Re:まっ黒くろすけ 様へ♪

まっ黒くろすけさま、いつもブログ訪問ありがとうございます♪

須藤にとって、血を分けてくれた亮介と琴音は、特別な存在となります♪
亮介は血を分けた義兄弟、琴音は契りを交わしたようなもので、須藤には掛替えのない人と思うようになります♪

そして、吉田が襲ってくるかも知れないという、亮介の考えに万が一に備える兼子。

更には、自分の行動が亮介に読まれていることも知らずに、兵隊を集めて遠藤医院に襲撃をかけようとしている吉田。

そろそろ私自身もケリを着けたいと思っています(*^-^)

>サブちゃんの演歌魂、兄弟仁義、ストリーを読んだ後は心に浸みますね。

そのように感じて頂けると嬉しいです♪
ありがとうございます♪

いつもコメントありがとうございます♪

嵐の前の静けさ

美香さん こんばんわ♪

これから始まる対決を前に、嵐の前の静けさ といったところですね。

いよいよクライマックスに突入ですね。






バイオレンス☆彡


>その頃、吉田の元へ7人の部下が集まりつつあった

そろそろ佳境に話の展開でありましようか!!
先日はGONINの映画をネットで拝見してましたが
美香さまのこの小説にはビートたけしさんも出演、よく似合いますよー


兄弟仁義、兄妹愛!

気になっていた須藤さんがママの輸血効果もあって手術持ちこたえて、死の淵からは脱したようなので少し安心しました。(#^^#)

遠藤医院で乱闘騒ぎにならないことを祈ります。

段々決着がつきそうな雰囲気になってきましたね。

サブちゃんの演歌魂、兄弟仁義、ストリーを読んだ後は心に浸みますね。

次回も楽しみにしてま~す。


プロフィール

美香

Author:美香
いらっしゃいませ♪
LGBT(トランスジェンダー)美香のブログへようこそ~♪

このブログは、私のリアルな日常や思うこと、感じたこと、など書いてます。
エッチな記事も含まれてますので苦手な方は飛ばして読んでくださいね♪

リンクはご自由にどうぞ♥

また、ご連絡いただければ、よろしければ私の方でもリンクさせていただきます♪

よろしくお願いいたします♪

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