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妹…5 (短編ハードボイルド)


由美を遠藤医院に預けてから、亮介は車ごと入れるラブホテルに身を寄せていた。

由美が行方不明だったこともあり眠れない夜を過ごしていた亮介。

由美を助け出したことで、亮介は昼過ぎまでぐっすりと寝ていた。

午後二時に目覚めた亮介。

シャワーを浴びてから、改めてラブホテルの部屋を見回すと部屋まで直接運んでくれる出前のおしな書きを見つけた。

昨夜から何も食べていなかった亮介は、ラーメンとカツ丼を注文した。

暫くして出前が届き、亮介はあっという間にたいらげた。

「さーて…どうすっかなー。神栄商事の新しい事務所の場所は警察に言ってあるから奴等もそこには行けないだろう。吉田が何処に居るか見つけられれば…。
あっ、そういえば鈴の音に奴等が来て暴れていったって須藤さん言ってたな。
奴等、鈴の音にまで手を出したのか。
由美を探してるのか?もし由美を探して鈴の音に行ったんなら俺も黙ってられないな…店の近くで張り込んでれば…奴等また現れるかもしれない。
奴等の一人を取っ捕まえて吉田の居場所を聞き出してみるか…」

亮介は、そんなことを考え外が暗くなり始めた夕方五時前にラブホテルの部屋内にある精算機で料金を払い部屋を出た。

鈴の音に向かう途中、スポーツ用品店に寄りバットを購入してからコンビニに寄り、亮介はパンとおにぎり、飲み物を買って持久戦に備えた。

午後六時前に亮介は鈴の音から少し放れた道路の反対側に車を止めた。

程なくして鈴の音の琴音ママが店に向かって歩いていくのが見えた。

少しでも怪しい動きがあれば亮介は飛び出していくつもりでいた。

琴音が店に入って10分ほど経ったとき、一台の車が鈴の音の前に停まった。

亮介は助手席に置いてあったバットを握りしめ、神崎を車内で襲ったときに使ったビニール紐を持ち車を降りた。

店の前に停まった車の様子を見ていると、運転手を残し四人の男が木刀のようなものを持ち車を降りて店に入っていった。

亮介はすぐに走り出した。

人通りはまばらでバットを握り締めて道路を横切る亮介を気に留める者はいなかった。

外に停めてある車の中の男には見向きもせずに、亮介が店に飛び込むと、二人の男がカウンター内の酒のボトルを木刀で滅茶苦茶に叩いていて他の二人はテーブルや椅子を破壊していた。

亮介は琴音の姿を探したが見当たらなかった。

ホールのテーブルや椅子を破壊している一人が亮介に気付き叫んだ。

『何だテメェは!客なら出てけ!』

『お前らこそ何やってんだ!』

亮介は低い声で言ってバットを男目掛けて力一杯横に振った。

亮介のバットは男の腕に当たり「ゴキッ」という鈍い音が亮介の耳に聞こえた。

不意を付かれた男は木刀を落とし、腕を押さえて踞った。

残りの三人が亮介に襲い掛かってきた。

亮介は振り下ろされた木刀をギリギリで避け男達と間合いをとった。

『お前ら神栄商事のもんか?』

亮介は、そう言って見た感じ亮介と同じくらいか年下に見える三人の男を睨み付けた。

『テメェこそ何もんだ?』

ほんの少し静かになったところで琴音がカウンター奥の狭い厨房から出てきた。

飛び散ったボトルの欠片が当たったのか琴音の顔と腕から血が出ていた。

『亮介くん?』

琴音は亮介の顔を見て一瞬ホッとした顔を見せた。

『ママ!大丈夫か?』

亮介が琴音に声をかけた時、三人の男の一人が木刀を亮介に付き出してきた。

バットでそれを払い除けると同時に、亮介はその男に前屈みで向かって行き男の腰のあたりを抱え込んだ。

少し揉み合いになったところで亮介は男の体を持ち上げ、後ろへ投げ飛ばした。

男は腰から落ちて立てなくなった。

亮介も倒れたが、すぐにバットを拾い上げ残りの二人を睨み付けた。

『お前ら…ママに怪我させたんだな?俺も許さねぇけど、あの人が来たら半殺しにされるぞ?』

亮介は、ママに手を出したら俺も黙っていられない、という須藤の言葉を思い出していた。

『あの人だぁ?誰だか知らねぇけど連れてこいよ!俺が叩きのめしてやっからよぉ!その前にテメエをぼこぼこにしてやらねぇとな』

『上等じゃねぇか!やれるもんならやってみろ!』

言いながら亮介はバットを振り上げた。

体の大きな男だが、意外にも機敏な動きで亮介のバットをよけた。

空振りで勢い余って体制を崩した亮介に体の大きな男は木刀で亮介の脇腹に木刀を食い込ませた。

思いがけない反撃に亮介は息を詰まらせて床に転がった。

そこにもう一人の男の木刀が亮介に襲いかかった。

床を転がり辛うじて木刀を避けた亮介は、起き上がり息を整えた。

想像以上の力で叩かれ亮介は苦しかった。

『痛てぇだろ。もう一発お見舞いしてやろうか?あぁ?』

亮介は転がっていたバットを素早く拾い上げた。

『どうした兄さんよ?肩で息してんじゃねーか』

男は一歩前に出た。

亮介は構えた。

その時、もう一人の男が横から亮介に木刀を付きだした。

横から付き出した男の木刀を亮介がバットで払い除けた時、大きな体の男の木刀が亮介の背中に襲いかかった。

亮介は体を捩って避けた分、まともに喰らう事はなかったが息が詰まる思いだった。

その時だった。

大きな男目掛けて琴音が割れていないウイスキーのボトルを投げつけた。

しかし大きく外れもう一人の男の頭に見事に命中。

ウイスキーのボトルが当たった男は頭を押さえて尻餅をついた。

大きな体の男が尻餅を着いた男に気を取られたところを
亮介は見逃さなかった。

大きな体の男の腕にバットを振り下ろした。

際どいところで男は腕を引っ込めた。

亮介のバットは男の腕を掠って床にめり込んだ。

そんな店の中の騒ぎを知らず、須藤は仕事を終えて「鈴の音」に向かっていた。

店が見えてきたところで、店の前に停まっている一台の車に目が止まった須藤。

須藤は嫌な予感がした。

『まさか…』

須藤は走り出した。

車の運転席にいる男を横目に須藤は店に入った。

亮介と体の大きな男が睨み合っていた。

カウンターの奥で怯えて顔から血を流している琴音を見て須藤の頭に血が上った。

大きな体の男は須藤に目をやった。

『なんだテメェは?』

『須藤さん』

琴音は須藤の名前を呼んだ。

須藤は改めて店の中を見渡した。

テーブルとイスは滅茶苦茶に壊れ、三人の男が床に四つん這いになっていた。

そしてカウンター奥の棚に置いてあるはずの酒が一つもなかった。

そして須藤の目に亮介の姿が止まった。

『よう…』

須藤は亮介だと分かると亮介から目を反らし体の大きな男を睨み付けた。

『テメェが店をこんなにしたのか?』

須藤は、そう言いながら床に転がっていた木刀を拾い上げた。

『だったら何だ!テメェは横から口出すんじゃねぇよ!』

そう言って男は亮介に木刀を振りかざした。

須藤は拾い上げた木刀で男の木刀を弾いた。

その勢いで須藤は男の足の脛を目掛けて木刀を叩きつけた。

男は呻き声をあげて床に倒れた。

その時、体の大きな男を残して他の三人は店から出て外に停めてある車に乗り込んで逃げていった。

『ママ、大丈夫か?顔から血が出てるぞ…』

脛を叩かれ床に体を丸めて転がる男を横目に、須藤は琴音の側に行きハンカチを取り出し琴音の傷口にそっと当てた。

『怖かった…須藤さん…怖かった…』

琴音は須藤に抱き付き体を震わせて泣き出した。

琴音は泣きながら事の経緯を須藤に話した。

『そうか…分かった。ママ、ちょっとここに居てくれ…』

須藤は琴音の側を離れて亮介に歩み寄った。

『亮介、大丈夫か?やられたのか?』

須藤は亮介に声をかけた。

『須藤さん、俺は大丈夫です。ママの側に居てあげてください。俺、コイツらのアジト聞き出して吉田を取っ捕まえてきます。ママの店までこんなことしやがって、もう許せないです。必ず吉田に償わせてやる』

『俺もその話乗るよ。ママに手を出したこと後悔させてやる。このでかい男から聞き出すか?』

『いいんですか?須藤さん…』

『昨日電話でも言ったろ?ママに手を出したら許さねぇって。この男別の場所に連れてくぞ』

『それなら話も早いや。須藤さん、これ使いましょう』

亮介はポケットから落ちたビニール紐を須藤に見せた。

『おっ、いいものあるじゃん。こいつの手足縛っちまおうぜ』

『俺も神栄商事の奴等を捕まえて吉田の居所掴もうとして用意してたんですよ。車持ってきますからこいつ乗せちゃいましょう』

『そうだな。ママ、こいつ車に乗せたら警察に電話して店が襲われたって言って』

須藤は琴音に向かって言った。

『分かった。でも襲われた理由何て言う?』

『そうだな…あっ、ママがコイツらを出入り禁止にしたからって言うことにしとこう。コイツらから店の弁償代も貰わないといけないからな』

『分かった。コイツらから500万くらい取っちゃって!』

琴音はそう言ってカウンターから出てきて亮介がビニール紐で縛り上げた男を蹴り飛ばした。

須藤と亮介は顔を見合わせてニヤッと笑った。

『俺、車持ってきますね』

『おう、頼む』

『ママ、後は上手く口裏合わせといて。亮介が居たことバレたら不味いから』

『わかってる』

それから五分も掛からないで、須藤と亮介は男と投げ出されていた木刀を車に乗せて走り去った。



『亮介、今夜中に片付けちまおうぜ。あまり長引かせたくないからな』

『そうですね』

須藤が話に乗ってくれたことが、亮介は心強く感じていた。

たった今大乱闘があったことが幻のように思えるような夜の町のクリスマスイルミネーションが亮介の目に揺れていた。



つづく。。。



どもです(*´∇`)ノ♪


とうとう須藤を本気で怒らせた神栄商事の吉田。

車に乗せた男から吉田の居場所を聞き出せるのか…。

次回に漂うクライマックス…

お付き合い頂きたくお願い致します♪


今回も最後までお付き合い
ありがとうございました♪

また来てね♪(@^^)/~~~

今回の選曲♪

【白い恋人達】桑田佳祐

いつも応援ありがとうございます♪
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テーマ : ハードボイルド
ジャンル : 小説・文学

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Re:godmina様へ♪

minaさま、いつもブログ訪問ありがとうございます♪

ドタキャンは残念でしたが、二日間満員ハロウィンパーティー満員御礼で良かったですね。

次はクリスマスパーティーでしょうか♪
武漢肺炎で離れ気味になっていたお客さんが、少しずつでも戻ってくることを願っております♪

ハードボイルド小説を読んでいただきありがとうございます♪

>読んでいて、次も読みたいなと言う気にさせてくれる。

嬉しいお言葉ありがとうございます♪

もうすぐ完結しますので、またお時間のあるときにでもお付き合いいただければ嬉しいです♪

コメントありがとうございました♪

やっぱり面白いですね

美香さん、こんばんは。
ハロウィン当日にドタキャン食らって
落ち込んでいる私です( ノД`)シクシク…
でも、昨日一昨日とお陰様で
ソーシャルディスタンスを守りながらも満席で
楽しいハロウィン☆パーティーをやれたから
オッケーだという事にしましょう(;^ω^)

やっぱり美香さんはハードボイルド小説最高ですね。
面白いし、話に迫力感がある。
読んでいて、次も読みたいなと言う気にさせてくれる。
文才ありますよ。
取り急ぎ次も読みに行きます(#^.^#)

Re:ももPAPA様へ♪


ももPAPAさま、いつもブログ訪問ありがとうございます♪

>いよいよストーリーはクライマックスへと進んでいくんですね。

はい♪次回で、神栄商事と須藤、亮介の争いは激化します。

とは言え、素人の私がどこまでこの世界に食い込めるか分かりませんが、どうか温かく見守ってください😃💦

守りたいものを守りながら…

目には目を、歯には歯を…意地の張り合いをお楽しみいただけたら幸いです♪

桑田佳祐さんの「白い恋人たち」。

本当に神曲ですよね♪

私の大好きな桑田さんの歌の一曲です♪

コメントありがとうございました♪

Re:まっ黒くろすけ様へ♪


まっ黒くろすけさま、いつもブログ訪問ありがとうございます♪

>ハラハラドキドキしながら。。。んっ、どうしたくろすけ。。涙まで。。。(^-^;

琴音ママの店が荒らされたところでしょうか…😃💦

押しても退かない、押されても退かない。
意地と意地の張り合いの応酬。

ハードボイルドに争いは付き物😃💦
守るべきものを守る。
守らなければならないものを守る。

そんな世界だから、誰かが犠牲になることも…。

このお話が綺麗に終わるかどうかは…
まだ内緒♪

白い恋人たち…くろすけさんの

お気に入りの歌だったのですね♪

選んで良かったです♪

【妹…】最後までお付き合いくださいませ♪

コメントありがとうございました♪

Re:がちょー様へ♪

がちょーさま、いつもブログ訪問ありがとうございます♪

ハードボイルドでも、争いのないお話もあるようですが…

私の中では、北方謙三先生の世界観が溢れています。

目には目を…歯には歯を…の応報。

人として守るべきもの、守らなければならないもの、押しても退かない、押されても退かない意地と意地の張り合い。

結果、誰かが犠牲になることも…。

このお話のラストがどうなるか…

それはまだ言えません(*^.^*)b

コメントありがとうございました♪

No title

美香さん おはようございます。

いよいよストーリーはクライマックスへと進んでいくんですね。

様子を知った須藤さんとも合流し、亮介と須藤さんは神栄商事に突入していくんでしょうか。

次回の展開も楽しみです。

白い恋人たち この曲も神曲ですね。
桑田氏のメロディメーカーとしての力量を改めて感じます🎶


バイオレンスアクションのモーニング!(*^^*)

おはようございます。
ハラハラドキドキしながら。。。んっ、どうしたくろすけ。。涙まで。。。(^-^;

そしてそして、「白い恋人たち」桑田佳祐。。これ、くろすけの大好きな曲でした。また涙があふれてしまいました。

亮介と須藤さんの「カッコイイ男の中の男たち」を見て、感じて、朝からスッキリのモーニングカフェできました。

今日も頑張るぞ!気合が入りました。(*^^)v

ありがとうございます。



ケンカになってしまいましたー

美香さま、小説も拝見しました!
なんと、喧嘩に発展してしまいましたね
バットに木刀!!
もう、本気でケンカになってしまいましたよー

亡くなる方も出そうで、早くに収束もして欲しいですね
ケンカはいけませんよ汗汗

さて、行方はまだバイオレンスなのかー!!


プロフィール

美香

Author:美香
いらっしゃいませ♪
LGBT(トランスジェンダー)美香のブログへようこそ~♪

このブログは、私のリアルな日常や思うこと、感じたこと、など書いてます。
エッチな記事も含まれてますので苦手な方は飛ばして読んでくださいね♪

リンクはご自由にどうぞ♥

また、ご連絡いただければ、よろしければ私の方でもリンクさせていただきます♪

よろしくお願いいたします♪

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