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人間になった猫…(二つの心)


前回のあらすじ。

桜木涼子は、姉と義兄が経営する動物病院で、12年前の動物愛護センターでの出会いを含めると、三度、松原良樹と顔を合わせた。
姉と義兄が経営する動物病院に、毎月必ず保護猫、保護犬の寄付金を募金箱に入れて、通い慣れている良樹に小さな運命を感じ、興味を持ち始める涼子だった。

では、続きをどうぞ♪(*・∀・)つ


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


動物病院の待合室で良樹に抱かれている娘を見つめる涼子は、ふと気付いたように壁に掛かっている時計を見た。
時計の針は12時半少し手前を指していた。

『あら、もうこんな時間になっちゃった。戻ってお昼ご飯食べなきゃ。
お姉ちゃん、義兄さん、仕事終わったらすぐに美奈子迎えに来るね。それまで美奈子のこと、お願いします』

『分かってる。和真と遊んでるから心配ないよ。早く戻ってご飯食べちゃいな』

涼子の姉と義兄は仲良く並んで涼子に笑顔を見せた。

その二人の姿に亡き夫と自分を重ねる涼子。

そして、良樹に抱かれている娘の美奈子に近付くと、美奈子は良樹に抱かれたまま眠っていた。

涼子は美奈子の頭を撫でると、良樹と目を合わせた。

『あの…私、駅前のショッピングモールでペットショップに勤めています。猫ちゃん引き取ってくださると言うことなので猫グッズ揃えるときは声かけてください…』

俯き加減で照れくさそうに良樹を見る涼子。

『はい、では遠慮なく声かけさせていただきます』

笑顔の可愛い涼子に照れ笑いを浮かべる良樹だった。

『じゃあ、お姉ちゃん、行ってくるね』

そう言って、いそいそと出ていった涼子を見送る良樹を見て、涼子の姉と義兄は顔を見合わせた。

『なぁ、雪枝…もしかしたらあの二人、もしかするんじゃないかな…』

涼子の姉の夫、和幸が妻の雪枝に耳打ちした。

『ふふっ、あなたも感じたんだ、あの二人のこと。
もしかするかもしれないね。歳は涼子と離れてるようだけど松原さん誠実そうだから。涼子、誠実な人に弱いんだよ』

和幸と雪枝は、嬉しそうに耳打ちをしていた。

涼子が出ていったドアを暫く見つめていた良樹。

ふと我に返ったように、美奈子を持ち上げるように抱き直して振り返ると、夫妻が意味ありげな笑顔で良樹を見ていた。

すぐに笑顔の意味を察した良樹。

『じ、じゃあ俺も帰ります。家に帰って着替えてラーメン食べに行かないと…』

そう言って、良樹は美奈子をそっと雪枝に預けるのだった。

『では、明日仕事の帰りに白猫引き取りにお伺いします。
後でペットキャリー持ってきますので、何処か隅っこに置いといてもらっていいですか?』

『ぜんぜん構いませんよ。
仕事終わって家に帰ってから、またここに来るのも大変でしょうから。
もしペットキャリーが壊れてたりしたらそこのペットショップで涼子ちゃんに選んでもらってください』

動物病院経営夫妻の夫、和幸が満面の笑顔で応えた。

『そうね。ペットキャリーも長年使うと劣化もしますからね。妹に会って二人で選んでみるのも良いかもね。ねっ、あなた』

雪枝もまた満面の笑顔であった。

『そ、そうですね。もし壊れてたら、そういう流れになるかもしれませんね』

『うん、そうしてみてください』

雪枝は笑顔で応えた。



動物病院を出た良樹は、倒れていたはずの自転車が入り口横の自転車置き場に置いてあるのを見て、涼子が自転車置き場に置いてくれたのだろうと思った良樹は、涼子のはにかんだような笑顔を思い浮かべていた。

自転車に股がり走り出すと、たちまち汗が滲み出してきた。

しかし、良樹の頭の中には暑さの不快感より、涼子の笑顔でいっぱいになっていた反面、良樹自身の歳を考えれば、あの笑顔も社交辞令なのかな、等と仕事で営業スマイルと隠れた本音を多く見聞きしてきたせいか、変な思い込みをする良樹の悪い癖だった。

暑い夏の日差しが照りつける中、良樹は汗だくになりながら家に着いた。

エアコンは着けたままだったので、各部屋が程よく冷えていた。

物置代わりとなっている部屋に入り、ミコとブチで使っていたペットキャリーを手に取り、使えるかどうか各所を見ていたら、上の部分のプラスチックの劣化が酷く、押すと簡単にヒビが入った。

『こりゃダメだな…。ケージはどうかな』

ケージは多少塗料が剥がれてはいるが、まだ使えると思った良樹の目に、思わず笑顔にさせる懐かしいものが見えた。

『あれ?ブチのかな…それともミコのか?』

良樹は呟きケージの中に手を入れて落ちていた猫のヒゲを指でつまんだ。

『綺麗に掃除したつもりだったけど、何処かに隠れてたんだな…。かくれんぼの好きだったミコのヒゲかもしれないな』

良樹はそのヒゲを手の中に包み込み、隣の部屋のテレビ前にあるテーブルの上にそっと置いた。

そしてショルダーバッグからカードケースを取り出し、ミコとブチが出窓で並んで写っている写真の上に、そのヒゲを入れた。

『明日、お前達が居た公園から白猫を家に連れてくることにしたよ。
お前達が使っていたケージ、また使わせてもらうからな。お前達の仲間の子供かもしれないから見守ってやってくれ』

良樹はブチとミコが一緒に写っている写真に話しかけるのだった。

良樹は、暫く写真を眺めながら、在りし頃のブチとミコの想い出に浸っていた。

少しの間、二匹を想い出していた良樹は、汚れたTシャツを脱ぎズボンと下着も洗濯機に放り込んでシャワーを浴びて汗を流した。

サッパリした気分でTシャツを着て膝までのハーフパンツを履いてテーブルの横に寝転んだら、あまりの気持ちよさに寝てしまい、起きたときにはオレンジ色の夕陽が部屋を染めていた。

『あらら…寝ちゃったよ。今何時だ?』

時計を見る良樹のお腹が「ぐぅ」と鳴った。

時計の針は午後6時半を指していた。

『腹へったなー。半チャラーメンにするか』

ショルダーバッグを肩にかけ、良樹は家を出た。

夕暮れでも、外は蒸し暑かったが日が照りつけていない分、昼間よりはいくらか楽だった。

自転車で駅前のラーメン屋に向かい、良樹はラーメンと半チャーハンをたいらげた。

コンビニに寄りビール2缶とおつまみ、久しぶりに公園の猫にご飯をあげようとスティック状になっている猫の一回分のカリカリご飯とコミック雑誌を一冊買ってコンビニを出た時には8時を回ろうとしていた。

傍のショッピングモールに目をやる良樹。

昼間の涼子の笑顔が良樹の頭に浮かんだ。

良樹はそれを掻き消すように頭を掻いた。

「50近いオヤジなんか相手にしてくれるわけ無いだろ」

良樹の悪い癖である自虐的な思い込みが始まった。

これが未だに独身である良樹の所以なのだ。

今までにも女性との付き合いのチャンスはたくさんあった筈の良樹。

自分で気付かない悪い癖なのである。

良樹は汗をかかないように、ゆっくり自転車を漕いでいた。

公園の横に差し掛かると、蛍の生息する沼地があるためか、夜になると風向きでヒンヤリとした空気が流れてくるときがある。

この夜も、その冷たい空気を感じた良樹は絶好の夕涼みと思い、自転車を公園の入り口に止めて、今ではベンチの側に街灯が設けられている、ミコと初めて出会った場所のベンチへ腰掛けた。

数分しないうちに茶トラの猫が鳴きながら良樹に近づいてきた。

良樹はコンビニの袋から猫のおやつであるカリカリを取り出し、スティック状の袋を破って手のひらにカリカリおやつを数粒乗せて、行儀よく座っている猫の顔の前に差し出した。

茶トラの猫は、良樹の手を怖がることなくカリカリの匂いを確かめるように嗅いだ後、ガツガツと食べ始めた。

『お前、腹減ってたのか。よし、もっと食え』

そう言って良樹は手のひらにカリカリを多目に乗せたその時だった。

公園の入り口に止めてある自分の自転車の横に女性の姿が見えていた。

子供を抱いているようで、子供の泣き声が聞こえてきた。

良樹の目に、遠目に映る親子連れは紛れもなく涼子と美奈子だった。

思いがけない涼子との出会いに、良樹は大人げなく涼子に向かって大きく手を振った。



涼子は、8時少し前にペットショップでの仕事を終えて、姉に面倒を見てもらっていた娘、美奈子を迎えに行き自宅への道のりを美奈子をベビーカーに乗せて歩いていたとき、公園に差し掛かったところで美奈子が猫に会いたいと愚図りだした。

仕事で疲れていた涼子は早く家に帰りたいと思っていたが、美奈子が泣き止まないのでベビーカーから美奈子を抱き上げてあやしていた時、公園の中の街灯の灯りの中で大きく手を振る人が目に止まった。

すぐ側には特徴のあるマウンテンバイクが止まっていて、その自転車は、昼間に姉の動物病院の入り口横に倒れていた自転車と同じだった。

「あれ?この自転車昼間の…じゃああそこで手を振っているのは…もしかして松原さん?」


二人は、またも思いがけない出会いをするのだった。



続く。。。

今日の選曲♪
【PIECE OF MY WISH】今井美樹


(*´∀)ノどもです♪

今回もちょっと時間掛かっちゃいました😃💦

良樹は、自虐的な悪い癖を持ちながらも、ちょっと積極的に出た良樹。無意識に、と言ってもいいかもしれない(笑)
良樹は、この自分の行動を後で恥じるのである(笑)

しかし、良樹に興味を持った涼子には、良樹の手を振る行為は後に興味から好意に変わっていくのであります♪


次回も皆様のお越しを
心よりお待ちしております(*^^*)

どうぞ次回も宜しくお願い致します♪

今日も最後までお付き合い
ありがとうございました♪

また来てね♪(@^^)/~~~

いつも応援ありがとうございます♪
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テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

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Re:まっ黒くろすけ 様へ♪


まっ黒くろすけさま、いつもありがとうございます♪

今回も読んでいただきありがとうございます♪

良樹と涼子、少しずつ近付いてきました。

良樹の悪い癖が、この先多少問題になりますが、積極的な涼子がどうでるか…お楽しみいただければと思っております♪

人との出逢い、それが自分にとって楽しくなるような出逢いなら、ずっと大切にしていきたいですね♪

コメントありがとうございました♪

Re:がちょー様へ♪


がちょーさま、いつもありがとうございます♪

今回も読んでいただきありがとうございます♪

良樹と涼子の、これからのストーリーをお楽しみいただければ嬉しく思います♪

ハードボイルドも、また思い付いたら書いてみたいと思っています。

コメントありがとうございました♪

二人の心にほっこり!

おはようございます。

いい感じで二人の心が展開していってますね。
詠みながらほっこりしました。
次回もまたまた楽しみにしてますからね。(*^^*)

そして、読みながら、人生って出逢いだよなぁ。。。て思いました。
素敵な出逢い、自分の一生を変えるような出逢い、
くろすけも沢登りに初めて案内してくれた方の出逢いは運命だと思っています。くろすけの人生が変わりましたから。。。
自分がHappyになる縁、出逢い、これからもあやかりたいです。


人間ネコシリーズ☆

美香様こんにちは♪

人間ネコシリーズですね!!
拝見しましたよー

ほのぼのシーンからハードボイルド感じが大好きで、さてさて、この人間猫さんたちの生き様、どーなることやらのドラマ、堪能しておりましたよ

猫の人間らしさにドキドキ♪


Re:ももPAPA様へ♪


ももPAPAさま、いつもありがとうございます♪

拙い物語も読んでいただきありがとうございます♪

仕事はできる男の良樹。しかし恋愛には不器用な良樹であります。
涼子は逆に積極的な女性なので、これから良樹という男をじっくり観察して涼子なりにアピールしていくのですが、良樹も涼子に好意を持ってはいるのですが、年の差を気にして煮えきらない良樹の一面も出てきますので、応援してあげてくださいませ(笑)

今井美樹さんの歌、元気を出せ、頑張れ、と自分が言われてるようでメロディに合わせて優しい感じが、私も好きです♪

コメントありがとうございました♪

Re:マイヤー様へ♪


マイヤーさま、いつもブログ訪問ありがとうございます♪

そして、拙い物語を読んでいただきありがとうございます♪

虹の橋を渡っていったペットの10年後の置き土産♪
私だったら思わず両手で包んで大切にしまうだろうな…
そんなことを思いながら書きました♪

マイヤーさんの、「待ってました」という言葉♪
とても嬉しく、創作の励みになりました♪

ありがとうございます゚+(人・∀・*)+。♪

Re:godmina様へ♪

minaさま、いつもありがとうございます♪

お褒めの言葉をありがとうございます♪

しかし、ワタクシ決してスラスラ書けません(笑)

ストーリーが出来ていれば、あとは言葉を上手く繋げるだけですが、書いては消し、書いては消しを繰り返しています(^-^;


今井美樹さんの「PIECE OF MY WISH」
しっとりした歌ですが、聞く人を元気付けてくれる歌ですよね♪
酸いも甘いも噛み締めたスナックのママに歌ってもらえると「頑張るよ」って思っちゃいます♪

コメントありがとうございました♪

No title

美香さん こんばんわ♪

今回の展開もとてもいい感じで 次回も期待が持てますね。
次も楽しみにしています。

今井美樹さんの歌 いいですね~
この歌も大好きです♪ 

No title

待ってました。
やっぱ、ハッピーに向かってゆく物語はいいですねえ♪
なんと言いますか、ミコみたいにいい置き土産をしてくれるのなら
僕も猫を飼いたいなあ。なんて罰が当たりますね(笑)
次回を楽しみにしてま〜す。

こんばんは。

美香さん、いつもブログご訪問ありがとうございます。

流石美香さん。
文章に澱みがなく、展開が上手ですよねぇ。
私も美香さんみたいにスラスラと書けたらなぁ。
自分の才能の無さと、発想の無さが嫌になりますわ(´;ω;`)
「美奈子」と見る度に、私はドキドキする(笑)

今井美樹さんの「PIECE OF MY WISH」は
私も大好きな曲で、店でよく歌っています(#^.^#)
プロフィール

美香

Author:美香
いらっしゃいませ♪
LGBT(トランスジェンダー)美香のブログへようこそ~♪

このブログは、私のリアルな日常や思うこと、感じたこと、など書いてます。
エッチな記事も含まれてますので苦手な方は飛ばして読んでくださいね♪

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また、ご連絡いただければ、よろしければ私の方でもリンクさせていただきます♪

よろしくお願いいたします♪

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