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異世界の忘れ物…2

2019.10.03(15:55) 348


細野雪枝と岡嶋美樹は、異世界への入り口が開いているであろう山を後にして、いつも通学で利用している駅から電車に乗り、二人は自宅へ向かっていた。

『あたしのクラスに都市伝説好きな子二人いるから声かけてみるよ。
それからセルンの事故ニュースに続報あるか調べてみる。
遠い国での事だから日本じゃ詳しく伝えないかも知れないし…。
セルンでの実験は宇宙規模に影響与えるみたいだから遠く離れた日本にも影響があってもおかしくないと思う…』

美樹は、セルンの事故と雪枝が見た異空間の日にちが繋がったことで雪枝の話に先程より興味を持ち出していた。

『あたしも何人か声かけてみるよ。その時にはどこでもドアとは言わないで、タイムトンネルとでも言っておこう…』

そう言いながら顔を赤くする雪枝に美樹は親しみを込めた笑顔で応えた。

二人は電車を降りて、改札を抜け雑談しながら自宅へ向かい、それぞれの家へと別れる道で立ち止まり日曜日のことを少し話してから二人はそれぞれ自宅へ向かった。

美樹が家に着いた時は、既に日は陰り夜の帳が降りていた。

『ただいまー』

『お帰りー、今日は遅いね』

美樹の母親の優しい返事が返ってきた。

部屋には晩御飯の良い香りがしていて、美樹のお腹がグゥと鳴った。

『先にお風呂入ってきな。出てくる頃にはご飯できてるから』

『はーい』

美樹は自分の部屋に入り制服から部屋着に着替えお風呂に入った。

お風呂に入りながら雪枝の話を思い返していた。

『雪の話がセルンの事故と繋がりがあるのか調べてみないと…。事故の続報とユーチューバーのチャンネルも観てみよ。なんかわかるかも…』

美樹は湯船に浸かりそんなことを思っていた。

美樹が、お風呂を出てご飯を食べていたとき、テレビのニュースではセルンの事故について報道していた。

やはり簡単で短いニュースだったが気になるニュースもあった。

旅客機が消息をたったことと、ある国では昼間の時間に一部の街だけが夜のように闇に包まれた、と報道していた。

ニュースを観ながら晩御飯を食べていた美樹は、食べ終わると自分の部屋に戻りパソコンの電源を入れた。

旅客機が消息を絶ったニュースは、本来着陸するはずの空港がある国と出発した国では大きなニュースになっていた。

英語記事なので翻訳しながら読む美樹。

『英語は苦手だけど便利な翻訳機能があれば英語勉強しなくてもいいじゃん…。ちょっと文法おかしいのはあるけど…』

そんなことを思いながら、ニュース記事によると着陸体制に入ろうとしていた旅客機がレーダーから消えたというものだった。

別の記事では、着陸体制に入っていた空港から何千キロも離れた場所の空港の近くに突然レーダーに現れた旅客機が緊急着陸をしたという記事だった。

どうやら消えた旅客機が何千キロも離れた空港に緊急着陸したらしい。

レーダーに突然現れた飛行物体に、その国の空軍が戦闘機でスクランブルしたことも記事になっていた。

空軍の戦闘機により旅客機は強制緊急着陸となった。後に別の空港で着陸間際に消えた航空機と同型の航空機、と記事に書いてあった。

また昼間の時間に、街の一部だけが夜のように闇に包まれたことは、皆既日食でもなく厚い雲に覆われたのでもないし、森林火災すら起きていないので街が煙に覆われたわけでもなく、いまだ原因不明となっていた。

『飛行機が瞬間移動した?セルンの事故が原因なのかな…』

そう呟きながら、美樹は都市伝説やオカルトの記事をあげているユーチューバーのチャンネルにアクセスした。

内容は美樹が確認した記事とほぼ同じだった。

そしてセルンについても触れていた。

セルンの陽子衝突実験に伴う多数の研究者たちによる幽霊の目撃。

消えた研究員の事などに触れていた。

旅客機の瞬間移動はセルンの事故の影響か…。

とも言っていた。

美樹は携帯を手に取り雪枝に電話をかけた。

雪枝はすぐに電話に出た。

『美樹~、どした?』

『雪、ごめんねこんな時間に…。
さっき話したセルンの事なんだけどさ…』

『うん、あたしもテレビのニュースで観たよ。
やっぱり簡単な報道だったね』

『あたしもテレビのニュース観てからパソコンで調べてみたの…』

美樹は、そう言って飛行機の事と昼間に夜のように暗くなった街の事とユーチューバーのチャンネルのことを雪枝に伝えた。

『どう思う?雪…』

『どう思うかは、あの鳥居を潜って確かめてからかな』

雪枝は、ふふっと笑いながら鳥居を潜る意欲満々だった。

『そっか…諦めないんだね…。危険かもしれないんだよ?』

『あんまり奥まで入らないようにすれば大丈夫だよ。あたしピラミッド見たときそんな気がしたんだ。
後ろに引っ張られる感じがあったの。
あの引っ張られる感じを意識してれば大丈夫な気がするんだ』

『そうなんだ。ちょっと危険な気もするけど…予定通り決行するかね…エージェントユキモン。
君に異世界の情報収集任務を与えよう』

『なんだそれ?あっ、エージェントとといえばスパイ!忍者も昔のスパイだから、女と書いてくノ一と呼んでいただきたい』

一時的な時代劇かぶれの雪枝。

『なんだそれ?何で女って書いてくの一なの?てかくの一って何?』

『えー!美樹の助知らないの?ならば教えてしんぜよう。平仮名の く を書いてカタカナの ノ を書くのだ。そして最後に漢数字の 一 を書いてそれを組み合わせれば女という字になるのだ。
そして昔の女スパイ、すなわち女忍者を くノ一 と呼ばれていたのだ。分かったか美樹の助』

再放送している水戸黄門に出てくる女忍者、くノ一のお銀に密かに憧れる雪枝。

『はいはい。ユキモン』

『なんだ、そのどうでもいいや みたいな返事は…』


そんなたわいもない話で二時間に及ぶ長電話は終わった。



翌日…

美樹と雪枝は、学校のお昼休みに友達数人に雪枝が見た鳥井の話とセルンの話をして日曜日にもう一度行くことを告げたら8人の生徒達が名乗りをあげた。

男子4人(悟)(勇次)(俊樹)(謙二)と美樹と雪枝を含めた女子6人(好美)(祐子)(真奈美)(綾)(美樹)(雪枝)好奇心旺盛な総勢10名が集まった。

Mission to explore different worlds などと大袈裟な名前を勇次が付けた。

女子は少し引いたが男子は、かっけー、いいじゃんそれ!とか言いながら、盛り上がっていた。

『任務って何?』

真奈美が冷めた目で勇次を見た。

『良いじゃねーか。なんかかっこいいし』

俊樹が言うと悟と謙二が大きくうなずいた。

『ねーねーお弁当は?おやつは?』

綾が口を挟んだ。

『いやいや綾ちゃん…ピクニックじゃないから…あっ、でも山の中だからねー。コンビにないし自販機もない…やっぱり各自お弁当と飲み物持参だね。おやつは千円までね』

祐子がきゃっきゃっ言いながらはしゃいでいた。

『おやつは千円まで、と…。やだー、なんか楽しくなってきちゃった』

美樹がメモ帳を開き日曜日のページに書き留めていた。

『じゃあ集合場所と時間決めようよ』

雪枝がそう言って皆の顔を見た。

日曜日、午前10時に皆が通学で利用している学校の近くの駅で待ち合わせが決まった。

それぞれ時間と集合場所を再確認して、皆は午後の授業に挑むのだった。


続く…

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移り行く日々の徒然に…


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