リネージュ2 二次創作長編小説 9
旅立ち
サラは 一人で家にいた。
夜はアドロと一緒に食事をする約束をしていたのだ。
また新婚の気分になれるな~…。
サラは、そう考えて一人にやけていた。
そして、夜になり食事の支度も終わり、アドロが来るのを待っていた。
しかし、いくら待ってもアドロは来なかった。
そして、とうとう朝になった。
『なによ!一緒に御飯食べる約束してたのに!』
独り呟きながら、サラはアドロの家に向かった。
サラはアドロに会ったら、文句の一つも言わないと気が済まなかった。
アドロの家に着いたサラは少し怒りをあらわにアドロの家のドアを叩いた。
…返事がない。
窓から中を覗いてみたが、帰った様子はなかった。
『おかしいな…』
そして、そのままグルーディンの街へ行ってみた。
そこで、オーレン城、ディオン城城主が、ギラン城主がいないのを見計らい、ギランを奇襲攻撃したインナドリル城に対し宣戦布告したことを知った。
そして、アドロ、ハリス達が、ゲートキーパーでギランへ行った事を知り合いから聞いたのだった。
サラは居ても立ってもいられなかった。
『私をおいて戦争にいったんだ…』
アドロへの不満と不安が入り交じった、何とも言い難い気持ちがサラの胸に残った。
サラは、すぐに家に帰りギランへ行く為に旅の支度を始めた。
戦争に間に合わないのはわかっていた。
ましてや、ギランまでどのくらい時間が掛かるのかもわからなかった。
それでも、サラはギランへいきたかった。
父、母よりもアドロの傍に行きたかったのだ。
そしてアドロを連れ戻したい気持ちもサラの中では強かった。
支度を終えたサラは一度街へ行き、必要な物を買い揃えてすぐにギランへ向かって歩き出した。
明日には大規模な戦争が始まるだろう…。と、サラは思っていた。
領地争いの絶えないアデン大陸。物流の盛んな大きな街は今までにも幾度となく争いに捲き込まれていた。
ギランの街も例外ではなかった。
アデン大陸の中にある街や村には、そこを領地とする城があり自分たちの領地を管理していた。
領地を拡大すれば、人々の出入りや物流の流れも盛んになり、領地を管理する城としては税収も上がり更なる街の発展、拡大につながるのである。
そして今回の舞台となりうる大きな街、ギランは領地を隔てて隣にあるインナドリル領地のルールを破ったギランへの奇襲攻撃によりギランをインナドリル領地としてしまったのだった。
しかし、その侵略行為は許されるべきことではなかった。
どこの領地でもない中立地帯を隔てギランと対立している、ギランの北にあるオーレン領地の城主さえもインナドリル領地のやり方に憤りを感じギランから侵略者たちを追い出すためにインナドリルに宣戦布告をした。
そして、ギランから少し離れた所に位置するディオン領地城主エスタリアもインナドリルのやり方に反発。
宣戦布告をインナドリルに伝令を使い打診した。
更にはギラン城主リキに恩のあるアラン・ケイス血盟軍もギラン奪還に参戦する事をインナドリル城主ベクター(ダークエルフ)スペルハウラーに宣戦布告を告げた。
オーレン、ディオン、アラン血盟軍の三軍がインナドリルに向かっていることを聞いたインナドリル城主ベクターは、悪名高いヌルカ血盟軍に話を持ち掛けギラン領地を分け与えることでヌルカ血盟軍のインナドリル軍参戦に合意させた。更には強靭な体を持つオークという人種の血盟軍とも、新しい領地を分け与えることで同盟を結びインナドリル参戦に協力を要請した。
ギラン領地を追い出されたギラン残存軍、役6000人。
ディオン軍、役8000人。
オーレン軍、10000人。
アラン‐ケイス血盟、8000人。
ギラン残存軍に加え、26000人を越える3軍がインナドリルとギランに向かっていた。
対してインナドリル軍、残存15000人、その内5000人がギラン城死守するために回されていた。
そしてヌルカ血盟軍、18000人。
オーク血盟軍、10000人。
人数こそインナドリル軍の方が多いが急遽寄せ集めた軍なので統率力に欠けていた。
そしてヌルカと同盟を組んでいる血盟軍が、そこかしこでインナドリルに宣戦布告した3群を待ち伏せる計画を企てていた。
これがアラン血盟軍にとって過酷な戦いとなるのだった。
グルーディオを出たサラは急いで歩いていたが、急いだところで所詮歩く速さで、いつギランに着けるのかもわからないので普通に歩き出した。
アドロ…無事でいてね…
サラはアドロの事だけを考えていた。
父と母はベテランハンターだから大丈夫、と自分に言い聞かせながら恋人であるアドロのことだけを考えることにした。
一方、アドロはリキに事情を説明してワイバーンを貸してもらえないか頼んでみた。
リキは快くワイバーンを貸してくれたのだった。
早速、アドロはワイバーンに乗り、スタッド、ハリス、エリウスに別れを告げ、グルーディンに向かいワイバーンと共に飛び立った。
ギラン城からは、兵士達がインナドリルへ向けて走って行くのを上空から見ていた。
兵士の数がやたらと多く目に付いた。
ギランが無事にリキさんの手に戻ればいいが…。
アドロは初めての戦場を見て不安になっていた。
両軍の遺体がそこかしこに倒れているのだった。
スタッド達大丈夫だろうか…。
そんなことを考えながらギラン城を後にした。
そして、アドロは海岸線に沿って続いている道をグルーディン目指して飛んでいた。
ワイバーンに乗ったアドロは、海沿いの道の上空を飛びながら、サラの元へと急いだ。
さすがにワイバーンでの移動は速かった
ギランを出て、約5時間。
遠くの方に、砂埃で霞んでいる荒れ地が見えてきた。
前に地図を見た時、荒れ地の道を行けば海沿いの道を行くより、
かなり時間を短縮できる事を知っていた。本当なら、
ギランからグルーディンまで一直線に飛べればいいのだが、ワイバーンは高い山を飛び越える事は出来ないと、リキから聞いていた。
アドロは少し休憩しようと、適当に休める場所を探していた。
荒れ地の手前で、小さな野営地をみつけた。
その野営地にアドロはワイバーンと共に降り立ち、周りを見渡したが野営地は廃墟と化していて、辺りに人影は無かった。
周りをよく見てみると、傍に大きな木があった。
その木に美味しそうな赤い実が成っていた。
アドロは空腹だった。ワイバーンの背中に乗り、
木の実を3固もぎ取った。アドロの拳大の大きさだった。
木の実を服で綺麗に拭き、ちょっと噛ってみた。
甘酸っぱい味と香が、口の中一杯に広がった。
美味い!!
アドロは、想わず口に出して言った。
それを見ていたワイバーンは、厳つい身体には到底似合わない甘えたような声で『クゥ~クゥ~』と、アドロが手に持っている木の実を見ながら鳴いた。
『ん?お前も食べたいのか?』
ワイバーンに木の実を見せた。
ワイバーンは、また『クゥ~』と喉を鳴らした。
『そうだな、お前もずーっと飛びっぱなしだもんな』
アドロはワイバーンの首の所を撫でた。
『ほらっ、口を開けな』
アドロはワイバーンの鼻先に木の実を差し出した。
ワイバーンはアドロの手を自分の歯で傷付けないように、そっと木の実を咥えて口の中に入れて一噛りした。
そして飲み込んだ。
ワイバーンは、ゴロゴロと喉を鳴らし、また『クゥ~クゥ~クゥ~』と鳴いた。
まだ木の実を食べたいらしい。
アドロは、またワイバーンの背中に乗り木の実を沢山取った。
アドロは3固、ワイバーンは8固食べた。
だが、アドロは実を一つ食べると身体が熱くなるような気がした。
気にせず三つ食べた時には、顔が赤くなっていた。
『なんだ?この実は?』
始めて酒を呑んだ時と同じような感じがする…
アドロはワイバーンを見た。
ワイバーンは首を左右に振りながら翼を広げ、ヨタヨタ歩いていた。
この木の実…酒と同じようなのが入ってたのか?
アドロは顔を真っ赤にしながら、ヨタヨタ歩くワイバーンを見て笑った。
その時だった。
オルマフムゲリラ(猫科トラ系モンスター)と傭兵5人グループが、アドロの周りを取り囲んだ。
『よぉ!兄ちゃん!誰に断って此処に入ってるんだ?』
オルマフム達は剣をチラつかせながらアドロを睨みつけた。
アドロは酒の成分の入った木の実を食べて、酒に酔ったように真っ赤な顔をオルマフムに向けた。
『誰も居ないのに誰に断ればいいんだ?それに此処は廃墟同然だろ!黙って入って何が悪い?』
言いながらアドロは二刀を手に持った。
アドロは酒のせいもあってか、かなりの強気だった。
もっともオルマフムごときにやられるようなアドロではなかった。
『さぁ!何処からでも来な!』
2刀を構えてアドロもオルマフムを睨み返した。
オルマフム達が一斉にアドロに襲い掛かかろうとした時、ワイバーンの口から炎の球が出てオルマフム達に注がれた。
オルマフム達は一瞬にして黒焦げになり、辛うじて火傷だけで済んだオルマフムは慌てて逃げて行った。
『ワイバーン!凄いな!そんなスキルを持ってたのか』
ワイバーンは空に向け、雄叫びをあげた。
『そうだ!!お前に名前をつけよう!…何がいいかな…』
アドロは少し考えて
『お前の名前はリッキーにしよう!リキさんのかわいいワイバーンだからな!うん、リッキーがいいや!』
簡単に単純な名前で決まってしまった。
当のワイバーン、リッキーは名前を付けられた事を知ってか知らずか、相変わらずヨタヨタと歩き回り、所構わず口から火玉を出して所々燃えていた。
『アハハ!すげーなリッキー!!』
アドロはリッキーの後をこれまたヨタヨタと追い掛けていた。
そして、そのままワイバーン、リッキーと共にアドロは寝てしまったのだった。
オルマフム と リザードマン
アドロが酒のような成分が入った木の実を食べてしまい、荒れ地の手前の廃墟になっている野営地で酔っ払って寝てしまっている時、アドロの元へ向かうサラは、グルーディンを出てから数時間が経っていた。
『もうすぐリザードマンが生息してる場所だなぁ…』
先日、アドロ達と一緒にリザードマンに襲われた若い女の人の遺品を探しに来た場所までもうすぐの所だった。
リザードマン一匹や二匹なら問題無いが、15~16匹まとまってこられたら魔法力の強いスペルハウラーのサラでも脅威になるはずである。
『相手が弱くても、数でこられたら危ないな…』
サラは魔法学校で教わったモンスターとの戦い方を思い出していた。
この辺りは、まだ巨大蜘蛛のトリムデン達の縄張り。
単独行動の多いトリムデン達なら、襲われたところでサラにとっては問題無い。
徒党を組んで、トラップを仕掛けてくる、リザードマン達にどう対抗するか…、
『とにかく、罠にかからないようにしなくちゃ!』
そう思いながら、遥か先まで続く狭い一本道を進んで行った。
そして、更に数時間が経ち日が暮れはじめてきた。
サラは地図を広げて、これから通る道を確認した。
忘れられた神殿まで、まだ丸一日かかりそうだった。
『もうすぐ夜になるな…近くに町は無いし…』
サラは歩き通しで疲れていた。
かと言って、この辺りで休むのも危ないだろう…。
サラは、もう少し歩く事にした。
そして…
日が沈み夜が訪れた。
月明かりだけを頼りに歩き続けているサラを、遠巻きに見つめる者達がいた。
『奴らの目をかい潜り此処まで来た甲斐があったな』
『あぁ、後は奴らに気付かれないように、あの女の装備を残らず戴くだけだな。お前達二人はこの辺りで見張ってろ。リザードマンの奴らが来たらすぐに知らせてくれ』
ボス格のオルマフムが下っ端の者に命令した。
オルマフムの山賊達である。
リザードマンの縄張りに入り込み、グルーディンから来る旅の人を襲い金品等をリザードマン達より先に奪うつもりでいた。
本来、オルマフム達はリザードマンの縄張りより、ずっと先にあるのだがオルマフムやリザードマンに襲われることが多いので、ギランで商業を終えて大金を手にした者たちは、ゲートキーパーを使いギランからグルーディンへと帰っていたので、歩いて帰る者が少なくなっていた。
一方、グルーディンからギランへ向かう人は多かった。
ギランは、とても大きな街であり、物流の盛んな街として有名だった。
故に、アデン大陸各所からいろいろな種族の人々が露店商を開き商業を終えた後、それぞれ自分達の街や村に帰るのだった。
グルーディンへ帰る殆どの人がたっぷり稼いだお金で、ゲートキーパーを使っていたのでオルマフム達には旅人を襲い金品を巻き上げる機会が少なくなっていた。
逆にグルーディンからギランへ向かう人の一部はリザードマン達に襲われていた。
そして、リザードマンの襲撃を逃れた人達は腕のたつ剣使いや魔法職ばかりで、オルマフム達は手を拱いていた。
そこで、オルマフム達はリザードマンの縄張りに潜入して、リザードマンより先に旅人を襲い金品を奪うつもりでいた。
そして、リザードマンの縄張りにに潜入したオルマフム8匹の目の前の暗い道をサラが歩いていたのだった。
サラは聴覚、視覚をフルに使い辺りの気配に神経を集中させていた。
そして、一人きりという心細さから、召喚獣のウルフ(オオカミ)を召喚した。
サラはウルフに『ミミ』と名付けていた。
『ミミ、傍にいてね』
サラはミミに囁くように言って、頭から背中にかけて優しく撫でた。
ミミはサラの顔を一度だけ舐めた。
そして、サラとミミは歩き始めた。
少しして、ミミが不意に立ち止まり唸り声をあげた。
サラに緊張感が走った。
ミミは暗闇の中の一点を見つめたまま唸り声をあげて身構えた。
サラは魔法武器であるデーモンスタッフに魔力を上げるスピリットショットを使い魔力を高めた。
暗闇から四つの影が現れた。
月明かりの下、オルマフムの顔が見えた。
リザードマンじゃない!
なんでここにオルマフムがいるの?
サラは動揺した。
『姉ちゃん!俺達はあまり時間が無いんだ。大人しく持ち物全部渡してもらおうか!』
オルマフム達は、じりじりとサラとの間合いを詰めてきた。
サラは咄嗟にオルマフムの一匹にスリープをかけた。
そして、間髪入れずに別のオルマフムにハリケーンを放った。
サラの魔法攻撃ハリケーンをまともに喰らったオルマフムは呆気なく倒れた。一匹のオルマフムがサラに襲いかかってきた。
そのオルマフムに召喚獣ウルフのミミが果敢に飛び掛かっていった。
残りのオルマフム3匹はサラに襲いかかった。
不覚にも、サラはオルマフムの一匹にローブを捕まれ剥ぎ取られてしまった。
悲鳴を上げるサラ。
『大人しく持ってるもの渡せば手荒な真似はしねぇよ!』
もう一匹がサラの後ろに回り身体を押さえつけた。
そして、ローブを剥ぎ取ったオルマフムが、今度はサラのデーモンスタッフを取ろうとした。
サラは、咄嗟に接近戦になったときに使う攻撃魔法オーラバーンを使った。
デーモンスタッフを奪おうとしたオルマフムはスペルハウラーの攻撃魔法オーラバーンをまともに喰らい弾かれたように後ろに飛ばされ気を失った。
サラを後ろから押さえつけていたオルマフムは、それを見てより一層強くサラの体を締め付けて動けないようにした。
そこへ、サラの魔法、スリープで眠らされていたオルマフムと残り二匹のオルマフムがサラの腕を掴みにかかった。
サラは身動きができなくなってしまった。
まだ、モンスターとの戦いに慣れていないサラは、3匹のオルマフムにあっけなく身体を押さえつけられてしまった。
『助けて…アドロ!』
サラが心の中で叫んだ時だった。サラのデーモンスタッフを奪い取ろうとしていたオルマフムが、突然『ギャー!!』と悲鳴を上げてオルマフムはサラのデーモンスタッフから手を放した。
オルマフムの後ろに唸り声を出しているミミが見えた。
最初にミミが飛び掛かっていったオルマフムは、すぐ傍に倒れていた。
ミミに噛み殺されたのだろう、と、サラは思った。
そして、サラに襲いかかっていたオルマフムの尻尾にミミが噛み付いていた。
その時、サラの片腕を抑えていたオルマフムが、ミミを目掛けて剣を振り下ろした。
『ミミ!危ない!!』
サラが叫んだ。
同時に、ミミは噛み付いていたオルマフムの尻尾を噛み千切った。
そして勢い余ってミミは後ろに転がった。
それが幸いして、オルマフムの振り下ろした剣はミミのミスリルアーマーを僅かに掠っただけだった。
ミミに尻尾を噛み千切られたオルマフムは相当痛いのだろう、地面を転げ回っていた。
仲間の悲鳴を聞いた見張りのオルマフム二匹が来た時、騒ぎを聞き付けたリザードマン達が現れた。
『オルマフムの野郎共が此処で何してやがる!!』
そう言いながらリザードマンの一匹が、ミミに尻尾を噛み千切られて地面でのたうちまわっているオルマフムの身体を槍で貫いた。
オルマフムは動かなくなった。
『何しやがる!!』
サラを羽交い締めにしていたオルマフムがサラを突き放し、リザードマンに襲い掛かっていった。
オルマフム四匹とリザードマン六匹が乱闘になった。
ミミは、リザードマンとオルマフムの乱闘を見据えながら、サラの前で唸り声を上げ低く身構えていた。
『ミミ、ありがとう』
ミミに抱きつくサラ。
そして、すぐ傍に落ちている自分のローブを素早く着込みミミと共にその場を離れようとした時、別のリザードマン三匹がサラの行く手を塞いだ。
『お前は大人しく此処に居ろ!』
三匹の中で一番身体の大きなリザードマンが、サラを睨みつけた。
ミミが歯を剥き出してリザードマン達を見ながらサラを庇うようにサラの前に出た。
『ほぅ、威勢のいい犬っころだな』
身体の大きなリザードマンが一歩前に出た時、ウルフのミミがリザードマンに飛び掛かっていった。
その時別のリザードマンが剣を抜き、ミミの身体を切り付けた。
ミミのミスリルアーマーにリザードマンの剣がぶつかり激しい金属音がしてミミは横に弾け飛んだ。
『ミミ!!』
弾き飛ばされたミミを見てサラが叫んだ。
ミミは転がり道の脇にある、大きな石にぶつかり動かなくなった。
ミミの傍に行こうとしたサラの前にリザードマンが立ちはだかった。
『大人しくしてろと言ったろ!!』
身体の大きなリザードマンの持つ剣がサラの鼻先で止まった。
サラは倒れているミミから目を放さなかった。
そして猛烈な怒りが沸いてきた。
『お前達…絶対に許さない…』
サラはミミから目を放し、リザードマン達を睨みつけた。
続く…

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サラは 一人で家にいた。
夜はアドロと一緒に食事をする約束をしていたのだ。
また新婚の気分になれるな~…。
サラは、そう考えて一人にやけていた。
そして、夜になり食事の支度も終わり、アドロが来るのを待っていた。
しかし、いくら待ってもアドロは来なかった。
そして、とうとう朝になった。
『なによ!一緒に御飯食べる約束してたのに!』
独り呟きながら、サラはアドロの家に向かった。
サラはアドロに会ったら、文句の一つも言わないと気が済まなかった。
アドロの家に着いたサラは少し怒りをあらわにアドロの家のドアを叩いた。
…返事がない。
窓から中を覗いてみたが、帰った様子はなかった。
『おかしいな…』
そして、そのままグルーディンの街へ行ってみた。
そこで、オーレン城、ディオン城城主が、ギラン城主がいないのを見計らい、ギランを奇襲攻撃したインナドリル城に対し宣戦布告したことを知った。
そして、アドロ、ハリス達が、ゲートキーパーでギランへ行った事を知り合いから聞いたのだった。
サラは居ても立ってもいられなかった。
『私をおいて戦争にいったんだ…』
アドロへの不満と不安が入り交じった、何とも言い難い気持ちがサラの胸に残った。
サラは、すぐに家に帰りギランへ行く為に旅の支度を始めた。
戦争に間に合わないのはわかっていた。
ましてや、ギランまでどのくらい時間が掛かるのかもわからなかった。
それでも、サラはギランへいきたかった。
父、母よりもアドロの傍に行きたかったのだ。
そしてアドロを連れ戻したい気持ちもサラの中では強かった。
支度を終えたサラは一度街へ行き、必要な物を買い揃えてすぐにギランへ向かって歩き出した。
明日には大規模な戦争が始まるだろう…。と、サラは思っていた。
領地争いの絶えないアデン大陸。物流の盛んな大きな街は今までにも幾度となく争いに捲き込まれていた。
ギランの街も例外ではなかった。
アデン大陸の中にある街や村には、そこを領地とする城があり自分たちの領地を管理していた。
領地を拡大すれば、人々の出入りや物流の流れも盛んになり、領地を管理する城としては税収も上がり更なる街の発展、拡大につながるのである。
そして今回の舞台となりうる大きな街、ギランは領地を隔てて隣にあるインナドリル領地のルールを破ったギランへの奇襲攻撃によりギランをインナドリル領地としてしまったのだった。
しかし、その侵略行為は許されるべきことではなかった。
どこの領地でもない中立地帯を隔てギランと対立している、ギランの北にあるオーレン領地の城主さえもインナドリル領地のやり方に憤りを感じギランから侵略者たちを追い出すためにインナドリルに宣戦布告をした。
そして、ギランから少し離れた所に位置するディオン領地城主エスタリアもインナドリルのやり方に反発。
宣戦布告をインナドリルに伝令を使い打診した。
更にはギラン城主リキに恩のあるアラン・ケイス血盟軍もギラン奪還に参戦する事をインナドリル城主ベクター(ダークエルフ)スペルハウラーに宣戦布告を告げた。
オーレン、ディオン、アラン血盟軍の三軍がインナドリルに向かっていることを聞いたインナドリル城主ベクターは、悪名高いヌルカ血盟軍に話を持ち掛けギラン領地を分け与えることでヌルカ血盟軍のインナドリル軍参戦に合意させた。更には強靭な体を持つオークという人種の血盟軍とも、新しい領地を分け与えることで同盟を結びインナドリル参戦に協力を要請した。
ギラン領地を追い出されたギラン残存軍、役6000人。
ディオン軍、役8000人。
オーレン軍、10000人。
アラン‐ケイス血盟、8000人。
ギラン残存軍に加え、26000人を越える3軍がインナドリルとギランに向かっていた。
対してインナドリル軍、残存15000人、その内5000人がギラン城死守するために回されていた。
そしてヌルカ血盟軍、18000人。
オーク血盟軍、10000人。
人数こそインナドリル軍の方が多いが急遽寄せ集めた軍なので統率力に欠けていた。
そしてヌルカと同盟を組んでいる血盟軍が、そこかしこでインナドリルに宣戦布告した3群を待ち伏せる計画を企てていた。
これがアラン血盟軍にとって過酷な戦いとなるのだった。
グルーディオを出たサラは急いで歩いていたが、急いだところで所詮歩く速さで、いつギランに着けるのかもわからないので普通に歩き出した。
アドロ…無事でいてね…
サラはアドロの事だけを考えていた。
父と母はベテランハンターだから大丈夫、と自分に言い聞かせながら恋人であるアドロのことだけを考えることにした。
一方、アドロはリキに事情を説明してワイバーンを貸してもらえないか頼んでみた。
リキは快くワイバーンを貸してくれたのだった。
早速、アドロはワイバーンに乗り、スタッド、ハリス、エリウスに別れを告げ、グルーディンに向かいワイバーンと共に飛び立った。
ギラン城からは、兵士達がインナドリルへ向けて走って行くのを上空から見ていた。
兵士の数がやたらと多く目に付いた。
ギランが無事にリキさんの手に戻ればいいが…。
アドロは初めての戦場を見て不安になっていた。
両軍の遺体がそこかしこに倒れているのだった。
スタッド達大丈夫だろうか…。
そんなことを考えながらギラン城を後にした。
そして、アドロは海岸線に沿って続いている道をグルーディン目指して飛んでいた。
ワイバーンに乗ったアドロは、海沿いの道の上空を飛びながら、サラの元へと急いだ。
さすがにワイバーンでの移動は速かった
ギランを出て、約5時間。
遠くの方に、砂埃で霞んでいる荒れ地が見えてきた。
前に地図を見た時、荒れ地の道を行けば海沿いの道を行くより、
かなり時間を短縮できる事を知っていた。本当なら、
ギランからグルーディンまで一直線に飛べればいいのだが、ワイバーンは高い山を飛び越える事は出来ないと、リキから聞いていた。
アドロは少し休憩しようと、適当に休める場所を探していた。
荒れ地の手前で、小さな野営地をみつけた。
その野営地にアドロはワイバーンと共に降り立ち、周りを見渡したが野営地は廃墟と化していて、辺りに人影は無かった。
周りをよく見てみると、傍に大きな木があった。
その木に美味しそうな赤い実が成っていた。
アドロは空腹だった。ワイバーンの背中に乗り、
木の実を3固もぎ取った。アドロの拳大の大きさだった。
木の実を服で綺麗に拭き、ちょっと噛ってみた。
甘酸っぱい味と香が、口の中一杯に広がった。
美味い!!
アドロは、想わず口に出して言った。
それを見ていたワイバーンは、厳つい身体には到底似合わない甘えたような声で『クゥ~クゥ~』と、アドロが手に持っている木の実を見ながら鳴いた。
『ん?お前も食べたいのか?』
ワイバーンに木の実を見せた。
ワイバーンは、また『クゥ~』と喉を鳴らした。
『そうだな、お前もずーっと飛びっぱなしだもんな』
アドロはワイバーンの首の所を撫でた。
『ほらっ、口を開けな』
アドロはワイバーンの鼻先に木の実を差し出した。
ワイバーンはアドロの手を自分の歯で傷付けないように、そっと木の実を咥えて口の中に入れて一噛りした。
そして飲み込んだ。
ワイバーンは、ゴロゴロと喉を鳴らし、また『クゥ~クゥ~クゥ~』と鳴いた。
まだ木の実を食べたいらしい。
アドロは、またワイバーンの背中に乗り木の実を沢山取った。
アドロは3固、ワイバーンは8固食べた。
だが、アドロは実を一つ食べると身体が熱くなるような気がした。
気にせず三つ食べた時には、顔が赤くなっていた。
『なんだ?この実は?』
始めて酒を呑んだ時と同じような感じがする…
アドロはワイバーンを見た。
ワイバーンは首を左右に振りながら翼を広げ、ヨタヨタ歩いていた。
この木の実…酒と同じようなのが入ってたのか?
アドロは顔を真っ赤にしながら、ヨタヨタ歩くワイバーンを見て笑った。
その時だった。
オルマフムゲリラ(猫科トラ系モンスター)と傭兵5人グループが、アドロの周りを取り囲んだ。
『よぉ!兄ちゃん!誰に断って此処に入ってるんだ?』
オルマフム達は剣をチラつかせながらアドロを睨みつけた。
アドロは酒の成分の入った木の実を食べて、酒に酔ったように真っ赤な顔をオルマフムに向けた。
『誰も居ないのに誰に断ればいいんだ?それに此処は廃墟同然だろ!黙って入って何が悪い?』
言いながらアドロは二刀を手に持った。
アドロは酒のせいもあってか、かなりの強気だった。
もっともオルマフムごときにやられるようなアドロではなかった。
『さぁ!何処からでも来な!』
2刀を構えてアドロもオルマフムを睨み返した。
オルマフム達が一斉にアドロに襲い掛かかろうとした時、ワイバーンの口から炎の球が出てオルマフム達に注がれた。
オルマフム達は一瞬にして黒焦げになり、辛うじて火傷だけで済んだオルマフムは慌てて逃げて行った。
『ワイバーン!凄いな!そんなスキルを持ってたのか』
ワイバーンは空に向け、雄叫びをあげた。
『そうだ!!お前に名前をつけよう!…何がいいかな…』
アドロは少し考えて
『お前の名前はリッキーにしよう!リキさんのかわいいワイバーンだからな!うん、リッキーがいいや!』
簡単に単純な名前で決まってしまった。
当のワイバーン、リッキーは名前を付けられた事を知ってか知らずか、相変わらずヨタヨタと歩き回り、所構わず口から火玉を出して所々燃えていた。
『アハハ!すげーなリッキー!!』
アドロはリッキーの後をこれまたヨタヨタと追い掛けていた。
そして、そのままワイバーン、リッキーと共にアドロは寝てしまったのだった。
オルマフム と リザードマン

アドロが酒のような成分が入った木の実を食べてしまい、荒れ地の手前の廃墟になっている野営地で酔っ払って寝てしまっている時、アドロの元へ向かうサラは、グルーディンを出てから数時間が経っていた。
『もうすぐリザードマンが生息してる場所だなぁ…』
先日、アドロ達と一緒にリザードマンに襲われた若い女の人の遺品を探しに来た場所までもうすぐの所だった。
リザードマン一匹や二匹なら問題無いが、15~16匹まとまってこられたら魔法力の強いスペルハウラーのサラでも脅威になるはずである。
『相手が弱くても、数でこられたら危ないな…』
サラは魔法学校で教わったモンスターとの戦い方を思い出していた。
この辺りは、まだ巨大蜘蛛のトリムデン達の縄張り。
単独行動の多いトリムデン達なら、襲われたところでサラにとっては問題無い。
徒党を組んで、トラップを仕掛けてくる、リザードマン達にどう対抗するか…、
『とにかく、罠にかからないようにしなくちゃ!』
そう思いながら、遥か先まで続く狭い一本道を進んで行った。
そして、更に数時間が経ち日が暮れはじめてきた。
サラは地図を広げて、これから通る道を確認した。
忘れられた神殿まで、まだ丸一日かかりそうだった。
『もうすぐ夜になるな…近くに町は無いし…』
サラは歩き通しで疲れていた。
かと言って、この辺りで休むのも危ないだろう…。
サラは、もう少し歩く事にした。
そして…
日が沈み夜が訪れた。
月明かりだけを頼りに歩き続けているサラを、遠巻きに見つめる者達がいた。
『奴らの目をかい潜り此処まで来た甲斐があったな』
『あぁ、後は奴らに気付かれないように、あの女の装備を残らず戴くだけだな。お前達二人はこの辺りで見張ってろ。リザードマンの奴らが来たらすぐに知らせてくれ』
ボス格のオルマフムが下っ端の者に命令した。
オルマフムの山賊達である。
リザードマンの縄張りに入り込み、グルーディンから来る旅の人を襲い金品等をリザードマン達より先に奪うつもりでいた。
本来、オルマフム達はリザードマンの縄張りより、ずっと先にあるのだがオルマフムやリザードマンに襲われることが多いので、ギランで商業を終えて大金を手にした者たちは、ゲートキーパーを使いギランからグルーディンへと帰っていたので、歩いて帰る者が少なくなっていた。
一方、グルーディンからギランへ向かう人は多かった。
ギランは、とても大きな街であり、物流の盛んな街として有名だった。
故に、アデン大陸各所からいろいろな種族の人々が露店商を開き商業を終えた後、それぞれ自分達の街や村に帰るのだった。
グルーディンへ帰る殆どの人がたっぷり稼いだお金で、ゲートキーパーを使っていたのでオルマフム達には旅人を襲い金品を巻き上げる機会が少なくなっていた。
逆にグルーディンからギランへ向かう人の一部はリザードマン達に襲われていた。
そして、リザードマンの襲撃を逃れた人達は腕のたつ剣使いや魔法職ばかりで、オルマフム達は手を拱いていた。
そこで、オルマフム達はリザードマンの縄張りに潜入して、リザードマンより先に旅人を襲い金品を奪うつもりでいた。
そして、リザードマンの縄張りにに潜入したオルマフム8匹の目の前の暗い道をサラが歩いていたのだった。
サラは聴覚、視覚をフルに使い辺りの気配に神経を集中させていた。
そして、一人きりという心細さから、召喚獣のウルフ(オオカミ)を召喚した。
サラはウルフに『ミミ』と名付けていた。
『ミミ、傍にいてね』
サラはミミに囁くように言って、頭から背中にかけて優しく撫でた。
ミミはサラの顔を一度だけ舐めた。
そして、サラとミミは歩き始めた。
少しして、ミミが不意に立ち止まり唸り声をあげた。
サラに緊張感が走った。
ミミは暗闇の中の一点を見つめたまま唸り声をあげて身構えた。
サラは魔法武器であるデーモンスタッフに魔力を上げるスピリットショットを使い魔力を高めた。
暗闇から四つの影が現れた。
月明かりの下、オルマフムの顔が見えた。
リザードマンじゃない!
なんでここにオルマフムがいるの?
サラは動揺した。
『姉ちゃん!俺達はあまり時間が無いんだ。大人しく持ち物全部渡してもらおうか!』
オルマフム達は、じりじりとサラとの間合いを詰めてきた。
サラは咄嗟にオルマフムの一匹にスリープをかけた。
そして、間髪入れずに別のオルマフムにハリケーンを放った。
サラの魔法攻撃ハリケーンをまともに喰らったオルマフムは呆気なく倒れた。一匹のオルマフムがサラに襲いかかってきた。
そのオルマフムに召喚獣ウルフのミミが果敢に飛び掛かっていった。
残りのオルマフム3匹はサラに襲いかかった。
不覚にも、サラはオルマフムの一匹にローブを捕まれ剥ぎ取られてしまった。
悲鳴を上げるサラ。
『大人しく持ってるもの渡せば手荒な真似はしねぇよ!』
もう一匹がサラの後ろに回り身体を押さえつけた。
そして、ローブを剥ぎ取ったオルマフムが、今度はサラのデーモンスタッフを取ろうとした。
サラは、咄嗟に接近戦になったときに使う攻撃魔法オーラバーンを使った。
デーモンスタッフを奪おうとしたオルマフムはスペルハウラーの攻撃魔法オーラバーンをまともに喰らい弾かれたように後ろに飛ばされ気を失った。
サラを後ろから押さえつけていたオルマフムは、それを見てより一層強くサラの体を締め付けて動けないようにした。
そこへ、サラの魔法、スリープで眠らされていたオルマフムと残り二匹のオルマフムがサラの腕を掴みにかかった。
サラは身動きができなくなってしまった。
まだ、モンスターとの戦いに慣れていないサラは、3匹のオルマフムにあっけなく身体を押さえつけられてしまった。
『助けて…アドロ!』
サラが心の中で叫んだ時だった。サラのデーモンスタッフを奪い取ろうとしていたオルマフムが、突然『ギャー!!』と悲鳴を上げてオルマフムはサラのデーモンスタッフから手を放した。
オルマフムの後ろに唸り声を出しているミミが見えた。
最初にミミが飛び掛かっていったオルマフムは、すぐ傍に倒れていた。
ミミに噛み殺されたのだろう、と、サラは思った。
そして、サラに襲いかかっていたオルマフムの尻尾にミミが噛み付いていた。
その時、サラの片腕を抑えていたオルマフムが、ミミを目掛けて剣を振り下ろした。
『ミミ!危ない!!』
サラが叫んだ。
同時に、ミミは噛み付いていたオルマフムの尻尾を噛み千切った。
そして勢い余ってミミは後ろに転がった。
それが幸いして、オルマフムの振り下ろした剣はミミのミスリルアーマーを僅かに掠っただけだった。
ミミに尻尾を噛み千切られたオルマフムは相当痛いのだろう、地面を転げ回っていた。
仲間の悲鳴を聞いた見張りのオルマフム二匹が来た時、騒ぎを聞き付けたリザードマン達が現れた。
『オルマフムの野郎共が此処で何してやがる!!』
そう言いながらリザードマンの一匹が、ミミに尻尾を噛み千切られて地面でのたうちまわっているオルマフムの身体を槍で貫いた。
オルマフムは動かなくなった。
『何しやがる!!』
サラを羽交い締めにしていたオルマフムがサラを突き放し、リザードマンに襲い掛かっていった。
オルマフム四匹とリザードマン六匹が乱闘になった。
ミミは、リザードマンとオルマフムの乱闘を見据えながら、サラの前で唸り声を上げ低く身構えていた。
『ミミ、ありがとう』
ミミに抱きつくサラ。
そして、すぐ傍に落ちている自分のローブを素早く着込みミミと共にその場を離れようとした時、別のリザードマン三匹がサラの行く手を塞いだ。
『お前は大人しく此処に居ろ!』
三匹の中で一番身体の大きなリザードマンが、サラを睨みつけた。
ミミが歯を剥き出してリザードマン達を見ながらサラを庇うようにサラの前に出た。
『ほぅ、威勢のいい犬っころだな』
身体の大きなリザードマンが一歩前に出た時、ウルフのミミがリザードマンに飛び掛かっていった。
その時別のリザードマンが剣を抜き、ミミの身体を切り付けた。
ミミのミスリルアーマーにリザードマンの剣がぶつかり激しい金属音がしてミミは横に弾け飛んだ。
『ミミ!!』
弾き飛ばされたミミを見てサラが叫んだ。
ミミは転がり道の脇にある、大きな石にぶつかり動かなくなった。
ミミの傍に行こうとしたサラの前にリザードマンが立ちはだかった。
『大人しくしてろと言ったろ!!』
身体の大きなリザードマンの持つ剣がサラの鼻先で止まった。
サラは倒れているミミから目を放さなかった。
そして猛烈な怒りが沸いてきた。
『お前達…絶対に許さない…』
サラはミミから目を放し、リザードマン達を睨みつけた。
続く…

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