リネージュ2 二次創作長編小説 8
ギラン城陥落…

アドロ達が村に戻って一時間位してからリキと側近一人がグルーディンに着いた。
村の広場にいれば、リキさんが来たときわかりやすいだろう、とアドロ達はリキが来るのを広場で待っていた。
そして、遥か上空にワイバーンの姿が二つ見えた。
『あっ!来た来た!あれリキさん達じゃない?』
サラが上空を指さし叫んだ。
上空に見えていた二つの黒い影はみるみる大きくなり、地面に降り立つワイバーンは翼を目一杯広げて、ふわりと村の広場に降り立った。
アドロ達は、ギラン城主リキの所へ走り寄っていった。
そしてアドロ達は、ステラを下ろすのに手を貸した。
『おぉ、済まないのぉ、お若いの……って、なんでおぬしらがいるんじゃ?』
『リキさん、ごめんなさい。私のリコールでステラも連れてくればよかった』
舌をペロっと出して、ティアラは申し訳けなさそうに言った。
『なんだ、リコールがあったのか。まっ、全然余裕じゃがの』
リキは痺れた腕を少し摩りながら笑った。
ハリスがリキの前に立った。
『盟主!!私を血盟に加えて下さい』
ハリスの心は決まっていた。
『私はあの時、貴方に命を救われました。そのご恩をお返しするためにも、私の頼りない力でもお役にたてるのなら、この弓を貴方の為に使いたいのです』
ハリスは、自分の武器であるエミナースボウをリキの前に差し出した。
『ハリス…だったかな?ほんとによいのか?今は戦乱の時、厳しい戦いが待っているぞ』
リキはハリスを見ながら言った。
『はい、一度は諦めた命、迷いはありません。ただ…』
ハリスは、そう言って下を向いた。
『ん?ただなんじゃ?』
『はい…リザードマンに殺された人達の遺品を回収してからにしたいのですが…』
『そうだな。そうしてあげなさい。私も手を貸そう。そうと決まれば、わしは親分のビフロンに会っておくかのぅ』
リキは白い髭を撫でながら言ってから、アドロ達を見た。
『他の者はどうするのじゃ?』
『俺も遺品回収が終わったらギランへ行きます』
スタッドが言った。
『私も行きます』
エリウスも血盟に入る事にした。
アドロは自分も行きたい気持ちは十分あった。だが、サラを一人にしたくなかった。
『私は父が帰って来てから決めたいと思います』
アドロはリキに対して敬意を払いながら頭を下げた。
『そうだな。父上とよく相談してから決めてほしい』
リキは、そう言いながらワイバーンの召喚をドラゴンの笛に戻した。
『どれ、わしはグルーディンの用事を済ませたらビフロンに会いに行ってみるかのぉ。奴ぁびっくりするじゃろぅ』
リキは笑いながら言った。
『それからあの怪我をした子の代わりのヒーラーを呼んであげよう。他にプロフィットとアタッカーを数名呼んだほうがいいじゃろう。それまでは無理せんようにな』
そう言い遺して町の中へ消えて行った。
その後遺品の一部をハンター組合へ持って行き依頼主のものかどうか確かめた後、皆家に戻った。遺品は依頼主の物ではなかった。
また、人数を増やして体制を立て直してから遺品の回収に行くということになった。
そして…
その頃、インナドリル軍はギランへ奇襲をかけるべく、数千の自軍をインナドリル領地に残し、そこここから集めた傭兵を自軍に含めギラン城へ進行していた。
インナドリル兵は傭兵を含め約20000名を少し超えていた。
その他に、インナドリル兵、傭兵先発隊8000名はギラン城の外門に辿り着いていた。
前触れもなく、何処の兵隊かを表す旗もなく、ギラン城の外門に集結した軍隊にギラン兵は戦闘体制に入った。
外門に集結した軍隊の前衛には強靭な肉体と力を持つオーク人種とドワーフが作り上げた、大きなメカニックゴーレムが立ち塞がっていた。
ギラン兵は城壁上部から弓兵が弓を構えていた。
前衛のオーク人種の一人が前に出てきた。
『我々は、インナドリルの傘下に属する傭兵である!インナドリルの指揮により、たった今ギラン軍に対し宣戦を布告する!』
ギラン城、外門に集結した軍隊の指揮官らしき者が宣告したあと、突撃命令を自軍に出した。
大きなメカニックゴーレムはギラン城の外門に向かって動き出した。
前衛のオーク人種も気勢をあげながら外門に向かって走り出した。
インナドリル傭兵隊後方からは1000人の弓兵から矢が放たれた。
ギラン城城壁に控えていた弓兵も矢継ぎ早に弓を放った。
城門に達したオーク人種とメカニックゴーレムはギラン城外門の破壊を始めていた。
アルテア

アルテアは、ギラン城主リキの言い付けによりワイバーンに乗りギランを目差していた。
途中、ワイバーンを休ませながら数時間かけて飛んできた。
そしてギラン城が見えてきた。
ホッとすると同時にただならぬ異変に気が付いた。
ギラン城から煙りが上がっていたのだ。
ギラン上空に差し掛かったとき、壮絶な光景がアルテアの目に飛び込んできた。
『城が攻められている!』
インナドリル軍がギランに奇襲をかけていた。
盟主が居ない時を狙った奇襲攻撃だった。
城の廻りには既に沢山の兵が倒れていた。
『奇襲攻撃とは…オーレン軍か?いや違うだろう…恐らくインナドリル軍…許せん!!』
本来城を攻める時には事前に宣戦布告をするのがルールでありお互いの戦力を最大にして戦うのが常である。
しかし、インナドリルはそのルールを破りギランに奇襲をかけたのだった。
ギラン兵の数およそ15000、インナドリル兵、傭兵含め約28000の兵がいた。
アルテアは上空から城へ降りた。
直ぐに自分の部下アルジュを捜し出した。そしてゲートキーパーでグルーディンへ飛び、盟主に現状を伝えるように命じた。
『アルジュ!!すぐゲートキーパーでグルーディンへ飛んでこの状況を盟主に知らせてくれ!!』
『はっ!』
アルジュが返事をしたその時、アルジュの身体をインナドリル兵の放った数本の矢が貫いた。
アルジュはその場に倒れ絶命した。
『アルジュ!!』
『!!』
続いてアルテアにも数本の矢が突き刺さった。
しかしアルテアは果敢にもインナドリル兵へ突進していき弓兵と数名の剣士を切り倒していった。
たが、さすがのアルテアもここで力尽きた。
インナドリル兵の奇襲攻撃だったため体制不利なギラン兵達は徐々に城の中へと追いやられていった。
外にはもうギラン兵はほとんど居なかった。
そして…8時間に渡る攻防戦の末ギラン城は堕ちたのだった。
それぞれの城主

ギランが堕ちた事は瞬く間に拡がっていった。
一日経たないうちにグルーディンまで噂は拡がっていった。
当然リキの耳にもいやがおうでも入るのだった。
アドロ、スタッド、ハリス、エリウスの4人はリキと側近のフレイドの前に立っていた。
アドロはリキを見ていた。
リキは両手をにぎりしめ、怒りにうち震えていた。
リキはハリス達に言った。
『皆、すまない。・・・どうやら皆に協力できなくなってしまったようじゃ・・・私はすぐにギランへ飛ぶ。皆には申し訳ないが血盟の話は無かった事にしてほしい』
『フレイド、すぐにゲートキーパーでギランへ行くぞ!!』
『はい!』
フレイドは応えた。
『ギラン兵が何人残っているか分からんが城主はまだここにいる!!城は落ちたわけではない!!』
リキは誰にともなく言った。
もしかしたら自分に言い聞かせてたのかもしれない。
そして血盟主 ギラン城主リキとその側近フレイドはゲートキーパーへと向った。
残ったアドロ達はどうしていいのかわからなかった。
ただハリスはリキについて行く決心はついていた。
ゲートキーパートークンもある。
『俺、ギランへ行く!』
ハリスは言った。
『よし!俺もいくぞ!!』
エリウスもスタッドも言った。
アドロは苦しい選択に悩んだ・・・が・・・
『すまない・・・俺は行けない・・・』
ハリスもエリウスもアドロに来てくれるように頼んだが
アドロは首を横に振るだけだった。
『もういい!!アドロ!お前には頼まん!』
ハリスは踵を返しゲートキーパーへ向った。
『すまない、アドロ・・・お前の気持ちはよくわかってる。今はサラの傍にいたほうがいい。・・・お前がいなくなったらサラは胞子へ行ってしまうだろう・・・もしくはお前がギランに来たらサラはお前を追いかけてギランに来てしまうかもしれない・・・ハリス達には俺がうまいこと言っておいてやるよ』
『スタッド・・・ありがとう・・・』
アドロはスタッドの気持ちが嬉しかった
『・・・無理するなよ』
アドロはそれだけ言った。
『あぁ・・・じゃ、ちょっとギランに行ってくる』
スタッドはアドロに手をあげてゲートキーパーへ向った。
アドロはスタッドが見えなくなるまでその場に佇んでいた。
それぞれの城主

アドロはグルーディンのゲートキーパーへ向かうスタッドの後ろ姿を見送っていたが、自分が行けない代わりに、自分の持っている武器の力を増幅させる、スピリットショットをスタッドに渡そうと思いアドロはスタッドの後を追って行った。
ちょうどゲートキーパー前でアドロはスタッドに追い付いた。
皆ギランへ飛ぶ寸前だった。
『スタッド!これを持っていってくれ』
そう言いながらアドロはスタッドにSSを渡したその時にハリスがゲートキーパートークンを使ってしまったのだった。
ゲートキーパートークンはそれを使う者に触れていれば、又は二次的に触れていても一緒に移動できるのである。
この場合スタッドはハリスに触れていた。
アドロがスタッドにSSを渡そうと触れた時にハリスがゲートキーパーを使ったのでアドロも一緒にギランへ転送されてしまった。
そして四人はギランの街へと移動したのだった。
盟主リキ達は先に城へ向かっていた。
『アドロ、お前来ちゃったのかよ…まずいんじゃねーか?』
スタッドが半ば諦めた口調で言った。
アドロは不安な面持ちでいた。
ギランからグルーディンまでストライダーを使っても何日かかるのかわからなかった
『サラ…』
アドロはサラが大人しく家に居てくれる事だけを願うだけだった。
『アドロ、リキさんにワイバーンを貸してもらえるように頼んでみたらどうだ?』
スタッドがアドロの不安な面持ちを見て言った。
『そうだな、聞いてみるよ…』
ギラン城の方を見ながらアドロは頷いた。
所変わって、ギランより少し北に位置するオーレン城。
オーレン城主『バニッシュ(ダークエルフ)』はギラン陥落を聞いてすぐにインナドリル城に宣戦布告を申し出た。
血盟員が『ギラン城ではないのですか?』
と聞いたが…
『ギラン城主はドワーフのリキだ!リキがいないのでは宣戦布告はできん!そして今ギランに居る者達は、ただの薄汚い侵入者だ。奴らを追い出すにはインナドリルを攻めるのが一番だろう…そうは思わないか?』
オーレン城主バニッシュはオーレン兵達を見ながら言った。
『リキよ…また王座に着き再度、我がオーレンと戦うのだ…そして…』
バニッシュは心の中で呟いていた。
そして『赤い城』と呼ばれるディオン城、ディオン城主『エスタリア(グラディエーター)』もまた、インナドリル城に宣戦布告をしたのである。
均整のとれた綺麗と言っても過言ではない彼女は、男勝りの統率力と磨きあげられた身体は女らしくもあり逞しくもあった。
『赤い城』ディオン城主、血盟主エスタリアは、かねてからリキと同盟を結びたいと思っていた。
そしてひそかに女として想いを寄せているアルテアに逢いたい、という気持ちがあった。
『あの方の力になれる時がきた』
エスタリアはこの時ばかりは独りの女になっていた。
続く…

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