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24時間3分遅れのデジャヴ


私、木嶋優香。

高校一年になる16歳。

中学卒業した次の日、父さんの仕事の都合で東北のY県S市に引っ越してきた。

私が中学3年になったとき、既に父さんの転勤が決まっていた。

母さんは8年前に他界した。

父と娘の私、二人だけの父子家庭だったので未成年の私は父さんに着いて行かなければならない。

中学3年に入って猛勉強して、このY県のS市の高校に入試合格した。

合格は素直に嬉しかったけど…

中学の卒業式は本当に悲しかった。

皆と同じ高校に行きたかったな~。

でも、仕方ないよね…。

いつもテレビ観ながら寝落ちする父さんを起こさなきゃいけないし、父さんのご飯もお弁当も作ってあげなきゃ、と思ってる。

何で私がそこまでするのか?

それは…父さんに再婚されたくないから。

父さんは再婚の『さ』の字も言わないけどさ…。

いつそんな気持ちになるか解らない。

だから、父さんにそんな気を起こしてほしくないから私が身の回りの世話をする。

でも、それは私が成人するまでだけど。

私は、結婚したら家を出ちゃうからね…やっぱり父さんも寂しいだろうし私も心配になる。

それに、私が大人になれば新しいお母さんになる女性が現れても受け入れられると思う。

だから、父さんにはもう少し私だけの父さんでいてほしいと思ってる。

明日は初めての登校。

不安だらけだけど、ポジティブに頑張る。



優香は、自分の想いを日記に認めた。

寝る前に歯を磨こうと優香がリビングを覗くと、案の定父親の木嶋晃はテレビを着けたままソファーで寝ていた。

そっと近付く優香。

ソファーの前のテーブルには、お酒が注がれているグラスが二つと優香の母親の写真が置かれていた。

優香の心に父の気持ちが深く染み込んでくるようだった。

『父さん、お父さん!ソファーで寝ちゃダメっていつも言ってるでしょ!布団で寝ないと風邪ひくよ』

『ん?あぁ…いつの間にか寝ちゃったな…。今何時だ?』

『11時半だよ。明日は何時に起きるの?』

『明日は…いつもと同じで六時に起きる』

『わかった。起きてなかったら…また叩き起こすからね』

優香はニヤリと笑った。

『わかってる。優香のお起し方半端じゃないからな。あの時以来お前の一声で起きるようになった。いきなり布団取っ払って冬でも躊躇なく窓全開だもんな』

『何度起こしても起きないからでしょ!』

『そりゃ悪かったね。でもな、男には男の事情ってのがあるんだ。いきなり布団引っ剥がすのは勘弁な』

『何?男の事情って』

優香はキョトンとした顔を見せた。

『そのうち解ることだ』

晃はそれ以上言わずグラスに残った酒を飲み干した。

『母さんとお酒飲んでたの?』

優香は二つのグラスと母の写真を見つめた。

『あぁ、優香の事見守っててくれよな、って母さんにお願いしてたんだ。新しい土地で新しい学校で不安だらけだろうからな?優香…』

『母さん、何て言ってた?』

『優香は前向きな子だから、きっとすぐに友達できるよって、父さんと同じ事言ってたよ』

『あのさ…父さんは再婚とかって考えてたりする?』

優香は俯きながら、心の中にある蟠りを父に問うのだった。

『なんだよいきなり…。気になるのか?』

『もちろん気になるよ。だって父さんはまだ40代でしょ?好きな人とか居るのかな~って。やっぱ気になるもん』

優香はソファーに座り、テーブルの上の母の写真を手に取った。

『俺は、お前の母さんである香織と離婚した訳じゃないからな。正直、今も香織の事は好きだし一日も忘れる事はないんだ。再婚なんてまだ考えてないよ。だから心配するな』

『まだ、っていうことは何れは…っていうこと?』

母の写真を見つめたまま、優香は呟いた。

『どうかな…。お前が成人して結婚する頃には、今の父さんの考えも少しは変わってくるかもしれないな』

『そうだよね。私が大人になって結婚したら…父さん一人になっちゃうもんね』

『おいおい、そんな話はまだまだ早いぞ。そんな先の話されたら、父さん今から泣くぞ』

晃は笑いながら言うのだが、内心はやはり寂しく思うのだった。

ソファーで寝てしまう前も、香織の写真に一人娘の優香の将来を話していた。

『そういう話はまだまだ先の事だ。今は一日一日後悔しない生活をしていこうな。お前の母さん、香織がやりたかったことを俺と優香で叶えてあげないとさ』

『母さん家が欲しいって言ってたんでしょ?父さんは母さんの夢、一つ叶えたんだね。この家を買ったことで』

『まぁな。マンションだけどこの家を決めたときは香織に胸張って報告したよ』

『母さんもこの家にいるのかな…』

『あぁ、きっといるよ…。優香の事をいつも見守っててくれるさ…』

『うん…』

晃と優香は、少しの間香織の写真を見つめていた。

『さて、歯磨いて寝るね。父さんもちゃんと布団で寝てよ』

『わかってる。おやすみ』

『うん、おやすみ』

優香はリビングを出て洗面所へ向かった。



翌朝、5時半に目を覚ました優香はキッチンに入り晃の弁当と自分の弁当を作り始めた。

父親である晃の味覚から、亡き母、香織の味を引き継いだ優香。

晃にとって食事の時間は、この上無い至福の一時なのだ。

父と自分の弁当を作り終え、朝御飯の支度を始める頃に父、晃の起きる時間となった。

優香はキッチンを出て父の寝室へ行こうとした時、晃が部屋からリビングへと出てきた。

『おはよー、今日は時間通り起きたんだね』

今日から高校生の娘。少し成長した優香のエプロン姿を見て晃はハッとした。

しっかり者の娘は、少しずつ大人の女へと近付いていることに改めて気付く父、晃。

『お、おはよう』

香織の娘である優香。この朝は香織の面影を随所に出していた。

そう見えるのも、きっと昨夜の話のせいだろう…と思いながらも、もしかしたら初めての登校日で優香自信気付かない緊張感がそうさせているのかな…とも考えながら、晃はテレビのリモコンを手に取り電源のスイッチを押した。

『もうすぐ朝御飯出来るから待っててね』

そう言って優香はキッチンへと戻った。

『こりゃ成人になるのもあっという間かな…』

晃は壁掛けの棚に置いてある、小さなポートレートの笑顔の香織に話しかけるのだった。



『じゃ、お父さん。行ってきます』

真新しい制服に身を包む娘は、やはり少し大人の雰囲気を出していた。

左腕には、香織の形見である革バンドで文字盤の小さな腕時計をしていた。
ストレートで肩まで延びる髪の、前髪を止める小さな赤いヘアピンが晃には印象に残った。

『うん、似合ってる。母さんにも見せたかったな』

『母さんなら、きっと見てくれてるよ。行ってきます』


元気に家を出ていく娘を見送る父親として、このまま健やかに成長してほしいと願う晃だった。


初めての登校であり入学式である一日目。

家から学校までバスを使うほどの距離ではないし、何よりもバス停までがそこそこの距離がある。

まともに学校まで歩けば20分程の距離だった。

学校の近くまで続く遊歩道があり、優香はその道を選んだ。大通りを歩くのは帰りに散策して帰るつもりでいた。

暫く歩くと、数日前に遊歩道を歩いたときには気付かなかった神社が見えた。

小さな鳥居が見えたのでお社だと分かった。

これから毎日ここを通るので、お参りをしていこうと神社へ向かって歩き出した優香。

綺麗に整備されている参道と年期の入った鳥居。

優香は、この静まり返った雰囲気が好きだった。

鳥居を潜るときに一礼をして、優香は参道を歩き出した。父に教えてもらった通り、参道の真ん中を歩かないように した。

手水舎で手を清め、賽銭箱の前で鈴を鳴らしお賽銭を入れて手を合わせた。

お参りをしたことで、優香は清々しい思いで登校できた。

幼い頃から神社のように神聖な雰囲気に引かれる優香。

これは父親である晃の影響でもある。

実際、父のスマホやパソコンのアルバムには神社が写っている写真がたくさんある。

親が行くところには子供も着いてくる。

その影響が今の優香に受け継がれたのだ。


学校に着き、自分の割り当てられたクラスに入った優香。

それぞれが顔見知りではないのか教室は静かだった。

暫くして気付いた、何となく記憶にあるこの教室の雰囲気。

『何だろう…この感じ…』

その時、隣の席の女子が声をかけてきた。

『あなた地元の人?私、水池加奈。よろしくね』

『木嶋優香です。K県から最近引っ越してきたの。よろしくね』

『木嶋さんて大人っぽいね。お姉さんて感じ』

加奈が染々と優香を見た。

『やだー、老け顔ってこと?』

苦笑いする優香。

『違う違う、そんな意味じゃないよ~。まさかお化粧してないよね?』

慌てて自分が言ったことを否定する加奈。

『お化粧なんかしてないよ~。割りと唇赤めだからそう見えるのかな…』

そんな感じで学校での生活が始まった。

入学式には、一度会社に行ってから父が遅れながらも来てくれた。

仕事で入学式には行けないと言っていた父が仕事の合間に来てくれた。優香にとってサプライズ的な嬉しいことだった。

お昼になり、優香は教室でお弁当を広げた。

加奈も隣でお弁当を広げていた。

父親と同じ優香の弁当の中身は、見た目は素っ気ないが栄養バランスはベストだった。

『加奈ちゃんのお弁当可愛いねー。私ももっと可愛く作ろうかな…』

『えっ、優香ちゃん自分で作ってるの?』

『うん、お父さんの分と一緒に作ってるからねー。自分のだけ可愛く作る時間がないの』

『お父さんのも?えっとー、お母さんは?』

『母さんは8年前に他界しちゃったから…。私が家事も食事も全部やってるの。お父さんは仕事だからね。家事は私の役目なの』

『そうなんだ…。ごめんね、言いづらいこと聞いちゃって…』

『気にしないで。隠すつもりもないから』

加奈は、優香が自分より大人っぽく見えるのは普段の生活の違いなんだろうな、と、ふと思うのだった。

加奈がそう思っているとき、優香はこの教室の雰囲気が記憶の何処かにあるような気がしてならなかった。

そしてこの後、初日の授業が終わり、帰りがけに見ていく大通りの雰囲気を加奈と見ながら歩いていて、再び不思議な感覚に陥るのだった。



つづく。。。



どもども♪(*´∇`)ノ 

新シリーズ【24時間3分遅れのデジャヴ】スタートです♪

人間になった猫は、もう少し待っててね😃💦

父と娘が新天地で生活を始めました。
何気ない新生活のスタートですが、タイトルにあるデジャヴというものに優香はこの後翻弄されてゆきます。

さてさて、どういう展開になるか…

この世には不思議なもの、不思議な感覚、科学では説明のつかないものがあったりしますからね(*^^*)b
興味がありましたら、この後の展開を想像してみてくださいね♪

ではこの辺で♪

また来てね♪(@^^)/~~~


今回の選曲♪
【TURE LOVE 】藤井フミヤ

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