亮介は須藤をランドクルーザーの助手席に乗せて、遠藤医院へと向かっていた。
亮介は、運転しながら腹部を押さえていた須藤の手が腹から力無く剥がれ落ちるように、静かにずり落ちるのを見るのだった。
『須藤さん?』
動かない須藤。
須藤の腹部と右手は血で染まっていた。
『須藤さん!寝ちゃダメだ!須藤さん!』
やはり動かない須藤。
『起きろよおっさん!寝てんじゃねぇよ!勝手にくたばったら許さねぇぞ!俺と一緒に自首するんじゃなかったのかよ!ママに金渡すんだろ!起きてくれよおっさん!』
亮介は叫んだ。
『…だ…誰が…お、おっさん…だっ…て…?』
須藤の声を聞いて、込み上げて来るものをグッと堪える亮介。
『良かった…。俺から見たら…須藤さんは十分なおっさんじゃねぇかよ』
亮介は、そう言って鼻をすすり須藤から少しだけ顔を背けて右手で目を擦った。
『な、なんだ…亮介…。お前…ま、まさ…か…な、泣いてるんじゃ…ねえ…だろう…な』
『あ、あくびしただけっすよ。おっさんに涙なんか流すわけないじゃないっすか』
しかし、亮介の言葉とは裏腹に、須藤が無事だったことで安心した感情を抑える事ができなかった。
『あー、そ、そう…かよ…わ、わる…かった…な』
須藤は、そう言って「ふっ」と笑った。
そして須藤は、ポケットから辛そうに携帯を取出し電話をかけるのだった。
3コールで繋がった。
「兄貴!」
『…よう、博之』
「兄貴、ギャング連中の発砲の事、教えてくれて助かりました。お陰で怪我人も出ずに済みました」
『うん、良かった…』
「兄貴に連絡したかったんですが、警察にあること無いこと事情聞かれちゃって…挨拶が遅れて申し訳ないです」
『い、いい…んだ。それよりよ…』
須藤は腹部の痛みで言葉を詰まらせた。
「兄貴?どうしたんです?体調子悪いんですか?」
『い、いや…大丈夫だ…そ、それよりよ…これから…遠藤先生のと…所に…来てくんねぇか?たの…頼み…があるんだ』
「遠藤医院ですね?…まさか、兄貴怪我してるんですか?」
『そ、そんなと…とこ…ろだ…』
『ちょっと兄貴!冗談やめてくれよ。俺の中で兄貴は不死身の竜なんだからさぁ。竜神会に居たとき一緒に殴り込みかけて、20人相手に兄貴は無傷だったじゃないですか。本当に怪我してるのか?兄貴?』
『博之…ご、ごちゃごちゃ…言ってねぇで…す、すぐ遠藤先生の…所に来て…くれ』
電話は一方的に須藤が切った。
現在、新田興業の幹部である兼子博之は、15年前須藤の舎弟として竜神会にいた。
兼子博之は、須藤の竜の彫物に憧れ、自分は背中に虎の彫物を彫っていた。
竜神会、先代の組長が義理人情を重んじる、現在の暴力団と言われる組織とは一線を画す、古いしきたりを貫く組織で薬物などは御法度だった。
そんな竜神会も組長が代わり、薬物に手を出すようになり先代の意思を次ぐものは竜神会を抜けて、竜神会先代と同じ考えを持つ新田興業へと移っていった。
須藤はその時にヤクザから足を洗ったのだった。
須藤が竜神会に居たときの舎弟だった兼子博之。
現在は新田興業の幹部であるが、須藤に対しては何時までも舎弟でいたいと思っている兼子博之。
男心に男が惚れた、という歌のように兼子にとって須藤は今でも尊敬に値する兄貴分だった。
『おやっさん。須藤の兄貴がどうやら大怪我したそうです。ちょっと遠藤先生の所に行ってきていいですか?なんか俺に頼みたいことがあるらしくて…』
兼子は組長であり新田興業の社長である新田竜二に須藤からの電話の事を話すのだった。
『須藤が大怪我?遠藤先生の所に行くとなると警察には言えない事情でもあるんだろう…。
博之、誰か二人連れていけ。
お前もまだギャング連中に狙われてるかも知れんからな。
何か事情がありそうだから行ってこい。
何なら俺も手を貸すと言っておいてくれ…』
『親父さん、ありがとうございます』
兼子博之は組員二人を連れて遠藤医院へと向かった。
30分程で兼子は遠藤医院に着いた。
組員二人を車に残して、兼子は一人で「本日休診」と札の掛かった遠藤医院の入り口を入っていった。
『先生。遠藤先生、新田興業の兼子です』
兼子は院内に入り声をかけた。
『おぉ、どうした兼子』
兼子は、診察室から顔を出した遠藤に対して丁寧に頭を下げた。
『先生、須藤の兄貴から此処へ来てくれって言われたんですが…兄貴大怪我してるんですか?』
『あぁ…お前さんだから言うけど派手に喧嘩したそうだ。須藤ともう一人のたった二人で、30人くらい蹴散らしたそうだ。その時の傷が…どうやら悪化したらしい』
『30人相手に?須藤の兄貴ともう一人って誰ですか?』
『もうすぐここに来るはずだから分かるよ』
『…分かりました』
それから10分程経った時、亮介が遠藤医院に飛び込んできた。
『先生!遠藤先生!須藤さん連れてきました。歩けそうもないので手を貸してください』
亮介は待合室の椅子に座っていた兼子が立ち上がった所で兼子と目が合った。
『おい、兼子。手を貸してやってくれ。そのまま診察室へ頼む』
遠藤の言葉で外に飛び出した兼子は、大きな車体のランドクルーザーに目が留まった。
助手席に座っている須藤の顔を見た兼子は、ランドクルーザーに駆け寄り助手席を開けた。
血だらけの須藤を見た兼子は離れた所に止まっている車の中の組員二人を手招きで呼んだ。
『兄貴!どうしたんだよ、この酷い怪我』
兼子は信じられない、という顔で須藤を視ていた。
『須藤さん運ぶの手伝ってください』
亮介が兼子の隣に来た。
『大丈夫だ。俺とあと二人居るから。あんたは休んでてくれ』
兼子は少し離れた所に止まっている車に乗っている組員に手招きをした。
車を降りて兼子の所に来た新田興業の二人は亮介をチラッと見て軽く会釈をした。
兼子と三人で須藤を車から降ろし診察室へと運んだ。
数分して、三人は診察室から出てきて、兼子は二人に車に戻って待つように言った。
待合室には亮介と兼子だけになった。
『須藤の兄貴を助けてくれてありがとう…』
兼子は亮介に深く頭を下げた。
『いえ、ここ数日、須藤さんとはずっと一緒でしたから…』
兼子は顔を上げて亮介を見た。
顔に幾つも痣を作っていた亮介を見て、兄貴と一緒に30人を相手にしたもう一人?と思った兼子は、須藤の怪我の原因を聞くのだった。
『俺は新田興業の兼子という者だけど…あんたは?』
『俺は佐久間亮介です。ちょっとした切っ掛けで須藤さんと一緒に行動してました』
『そうか…。須藤の兄貴は何であんな大怪我したんだ?教えてくれるか?』
『はい。須藤さんから兼子さんに、全て…洗いざらい話してくれ、と言われています』
『そうか…。なら全部教えてほしい』
亮介には、兼子という男が何処か須藤に似ている所があるような気がした。
そんな兼子に、亮介は神栄商事の吉田に妹が拉致されて薬漬けにされオモチャにされたこと。
神栄商事を襲撃して妹を取り返したこと。
スナック鈴の音で神栄商事の吉田が店で暴れて須藤さんにぼこぼこにされたこと。
その逆恨みで神栄商事の奴等が、鈴の音をメチャクチャにしたこと。
店のママが怪我をしたことで吉田は須藤の怒りを買って、亮介は妹をボロボロにした吉田への恨みで、二人で神栄商事を襲撃したこと。
その時の傷が悪化した、と兼子に告げた。
そして、神栄商事の吉田と警察の黒田警部補との銃の横流しの事実を掴んで、新聞社と一緒に警察の不祥事を警察が隠蔽しないように、世間に広めようとしている、と兼子に説明した。
『神栄商事の吉田は、黒田警部補の銃を奪って黒田を撃って逃走しました』
『そうか…佐久間、あんたすげぇことに足突っ込んでるんだな』
『下の名前、亮介でいいですよ。須藤さんにも亮介って呼ばれてましたから。
それで須藤さんは、自分はもう動けないから兼子さんと組んで吉田を追い詰めてくれって言っていました』
『そうか…面白そうだな。で、俺はどうすればいいんだ?』
『黒田と吉田の繋がりの証拠は押さえましたから、吉田を捕まえて、警察との繋がりを世間に広めるだけです。この事が終わったら、俺と須藤さんは自首するつもりでいます。俺も須藤さんも警察に追われているので…』
『マジかよ…兄貴も納得してるのか?』
『えぇ、須藤さんから言い出した事です。どうせ捕まるなら吉田を道連れに警察の不祥事を暴いてやろうという事です』
『なるほどな…兄貴らしいや。あんたも…あ~、亮介って呼んでいいのか?』
『はい。兼子さんも須藤さんに何処と無く雰囲気似てるから俺としても亮介って呼ばれる方が自然でいいです』
『わかった。俺の尊敬する兄貴に似てるなんて嬉しいこと言ってくれるじゃん』
『それで須藤さんから兼子さんに渡してくれと頼まれています』
そう言って、亮介は神崎のバッグから二百万円を出して兼子に渡そうとした。
『なにこれ?』
『須藤さんが兼子さんに渡して、この金で動いてくれって言ってました』
『要らねぇよ。俺は受け取らん。それに俺は金で動く男じゃねえからさ。しまっといてくれ』
明らかに兼子の顔が不機嫌になったのを亮介は感じ取った。
『分かりました。何か必要になった時、言ってください』
『あぁ…』
その時、二階から亮介の妹、由美が降りてきた。
『お兄ちゃん…』
『由美…少しは体良くなったか?』
『うん…先生のお陰でね…』
『妹さんか?…あれ?』
兼子は由美を見て指を指した。
『はい、妹の由美です』
『あれ?あれ?何処かで会ったような…』
兼子は由美を見て記憶を引きずり出そうとしていた。
『あっ、須藤さんとお店に来たことありますよね?鈴の音に…』
『あー、思い出した!由美ちゃん!そうそう由美ちゃんだ』
兼子は手を叩いて由美を指差した。
『由美、兼子さん知ってたのか?』
『うん、須藤さんと一緒に来ていたの覚えてる。お客さんの顔はけっこう覚えてるから。
須藤さんは一緒じゃないんですか?須藤さんのこと兄貴~って呼んでましたよね?』
由美は悪戯っぽく笑った。
しかし、亮介も兼子も沈んだ顔になった。
『えっ?どうしたんですか?』
由美はキョトンとした顔を二人に見せた。
『実はさ…須藤さん大怪我して…』
亮介が由美に話している途中で、遠藤が診察室から出てきた。
『A型の血液型居るか?あっ、由美ちゃん、寝てなきゃ駄目だろ…』
『俺A型です。輸血なら俺の血を使ってください』
亮介は上着を脱いで待合い室の長椅子に置いて腕捲りをした。
『けっこう抜くけど大丈夫か?』
遠藤は亮介に確かめるように聞いた。
『大丈夫です』
『かなり内出血が多くて足りるかどうか分からんが…』
『俺はB型だしな…。外で待たせてる奴等に聞いてきます』
兼子はそう言って外に出ていった。
『ねぇ…お兄ちゃん。どういうこと?須藤さんに何かあったの?』
『由美ちゃんは、自分の体を元に戻す事を考えていなさい。ほら、二階に戻って…』
『須藤さんに何かあったのね?大丈夫なの?』
『大丈夫さ…。俺の血を使って先生に治してもらうだけだから。心配するな…』
由美は自分の目で確かめるため、診察室を覗いた。
血だらけの須藤が診察台に寝ていた。
『須藤さん…』
由美はその場で動けなくなった。
『由美…心配するな。須藤さんはきっと治る』
亮介自身、どうなるか解らないが由美にはそう言うしかなかった。
『ママに知らせてあげなくちゃ。お兄ちゃんスマホ貸して』
亮介は遠藤の顔を見た。
遠藤は頷いた。
『俺の上着に入ってる。ママに知らせてやれ…』
由美は急いで亮介の上着からスマホを取出し琴音に電話をかけた。
『もしもし、亮介くん?』
『ママ、アタシです。由美です。須藤さんが大変なの…。ママ、すぐ来てあげて…。須藤さんの傍にいてあげて…』
『由美ちゃん。落ち着いて。須藤さんがどうしたの?何が大変なの?』
琴音は努めて冷静に応えた。
『須藤さんが大怪我してるの。いま遠藤医院で治療してます。須藤さんの傍にいてあげてください』
『分かった。由美ちゃん、すぐ行く。知らせてくれてありがとう』
琴音はそれだけ言って電話を切った。
急いで出掛ける仕度をして、亮介が由美を遠藤医院に連れていかせるために、須藤が亮介に教えた遠藤医院の住所を書かいたメモを琴音は持っていた。
その住所を確認して、家を出てタクシーを拾った。
琴音は、ドライバーに遠藤医院の住所を告げた。
タクシーの中で、琴音は神栄商事の連中に店を滅茶苦茶にされた時、連中を追い出した須藤と亮介の姿を思い浮かべていた。
須藤の怪我は神栄商事が関係しているのか…。
神栄商事の事件に二人は関係しているのか…。
須藤と関係の深い新田興業への発砲事件に関係しているのか…。
琴音は、そんなことを考えても仕方の無いことだと思いながらも、須藤の怪我を悪い方に考えたくないことで、意識的に思考を須藤の怪我から逸らしていた。
その頃、遠藤医院では長年勤めている看護士と遠藤医師で須藤の治療を始めていた。
見た目から腹部の内出血が遠藤には確認できた。
出血場所を特定するために、遠藤が須藤の腹を切開すると大量の血液が流れ出てきた。
内臓の損傷や出血箇所を遠藤は懸命に探した。
その間にも出血は止まらず、遠藤の診察で内臓の数ヶ所から出血していることが分かった。
『兼子ー!他にもA型の奴数人探してくれ!急いでな!この子一人じゃ到底足りないし持たないと思う!』
『分かりました!』
兼子は外に出て、車の中にいる二人に確認したが二人ともB型だった。他にも組員の中で血液型がA型の者を探した。
A型だと名乗り出たのは三人だけだった。
兼子は、その三人に急いで遠藤医院に来るよう指示した。
『先生、三人A型いました。30分から40分位で着くたと思います』
『微妙だな…。できるだけ急がしてくれ。血液センターから頼むより早いはずだから』
『分かりました』
兼子は、遠藤医院に向かっている三人にできるだけ急ぐように伝えた。
院内に戻ってきた兼子に、由美は須藤がどうしてあんな大怪我をしたのか聞くのだった。
『あの…須藤さんの怪我は神栄商事の事件と関係あるのですか?』
『いや…どうだろうね…俺にもよく分からないけど…』
『鈴の音が襲われたことに関係あるのでしょうか…。神栄商事の吉田が関係してるとしたら、吉田って男殺してやりたいです。アタシにも酷いことして、須藤さんまであんな大怪我をさせるなんて…』
『ほ、ほら、そんな物騒なこと言わないで…。もし吉田が関係してたら俺が取っ捕まえて警察に突き出してやっからさ。由美ちゃん寝てた方が良いんじゃないか?先生も言ってたじゃん。寝てなさいって…』
由美は悔しそうな顔をして、兄亮介のジャンパーと荷物を持って2階の病室へ戻っていった。
『由美ちゃんの中では吉田が全て悪いことになってるな…まぁ、その通りだけどね。やっぱり女の勘は鋭いな…』
その時、遠藤が診察室から顔を出した。
『兼子!あと10分位で着かないか?もうあの若い者の血をぬ抜くことは無理だ』
『ちょっと確認してみます』
『頼む』
遠藤はそう言って須藤の治療に戻った。
『兼子だ。あとどれくらいで着くんだ?』
兼子はイラついたように電話をかけた。
『ちょっと渋滞ができてるのでまだ20分は掛かると思います』
『マジかよ…。もう時間がねぇんだよ…。急いでくれ』
『努力します』
兼子は返事を聞いて電話を切った。
そして外に止めっぱなしのランドクルーザーを病院の駐車場へ入れて兼子は院内へと入った。
それから10分が過ぎた。
遠藤が治療室から出てきて、兼子に近付いた。
『あと5分ほどでこなかったら、俺にはどうしようもない。最善は尽くすけどな』
『何とか持たせてくれよ先生…』
兼子は先生に懇願するように手を合わせた。
『最善は尽くす。それだけだ…』
兼子は居てもたってもいられず、待合室から外に出た。
『くそっ!俺の血が合えば…兄貴に幾らでもくれてやるのに…』
そんなことを考えていた兼子の前にタクシーが停まった。
降りてきたのは琴音だった。
『鈴の音のママじゃないですか』
琴音を見て兼子は声をかけた。
『あら、兼子さんですよね?須藤さんはまだ治療中ですか?』
『えぇ、血液が足りなくて、今うちの連中呼んで…』
『アタシ須藤さんと同じ血液型です。アタシの血を採ってください。幾らでも採ってください…あの人がそれで治るなら…』
琴音は兼子の言葉を遮るように、自分の感情をおしだした。
『中で先生に言ってみましょう』
兼子はドアを開けて琴音を院内へ招き入れた。
『先生!お客さんです』
遠藤が治療室から顔を出した。
『鈴木琴音です。須藤さんとは知り合いで、私、須藤さんと血液型同じです。アタシの血を使ってください』
『それは助かります。少々多目に輸血することになるかもしれませんが…宜しいかな?』
『須藤さんがそれで助かるのなら幾らでも構いません。お願いします』
『では、こちらへ。中を見ても動揺しないで下さいね』
遠藤はそう言って、琴音を治療室へ招き入れた。
横たわる須藤と亮介、双方とも顔色が青くなっていた。
看護士は亮介を支えながらベッドから降ろして別のベッドへ寝かせた。
亮介はふらふらだった。
看護士は、琴音を亮介が寝ていたベッドに寝るように促し、輸血用の新しい針を準備した。
看護士はベッドに横たわった琴音の服の袖を捲り上げ、消毒をして輸血用の針を琴音の細い腕に突き刺した。
透明なチューブが赤く染まっていくのを琴音は目で追っていた。
やがて、琴音の温かい血液は須藤の体へと流れ込んでいった。
それを確認したかのように、琴音は天井を向き目を閉じた。
琴音が来たお陰で、須藤は何とか事なきを得た。
その後、兼子の組員が三人来て須藤の手術は何とか終わった。
時刻は、既に午後の3時を回っていた。
亮介も琴音も、遠藤も看護士も疲れはててグッタリしていた。
そんな時、由美は遠藤の治療の甲斐もあり覚醒剤の幻覚も少なくなってきた今、一人吉田への復習を目論んでいた。
亮介が持っていたバッグの中を覗くと、帯の付いた札束が8束と携帯が一つ入っていた。
その携帯を取出し、由美は電源を入れた。
電話帳を開くと吉田の名前があった。
由美は吉田の番号を出して発信ボタンを押した。
3コールで繋がった。
「てめぇ、佐久間だろ。よくも事務所滅茶苦茶にしてくれたな。金まで持っていきやがって。てめぇの妹、必ずまた拐ってやるからな。風俗で働かせてお前の妹に金返してもらうからな。おい、何とか言えよ、佐久間!」
『あんた、いま何処にいるのよ。薬がほしくてたまらないんだけど…。あんたに会えばもらえるの?何処に居るか教えてくれる?』
「なんだ、お前由美か。なんでお前が神崎の携帯持ってるんだよ」
『兄貴のバッグから持ち出したんだ。それより薬が欲しいんだけど…』
「お前が何処にいるのか言えば迎えに行ってやるぜ?」
『それは言えないよ。あんた悪党だから回りの人に迷惑になるでしょ?』
「言うに事欠いて悪党だと?お前のあられもない姿の写真ばらまくぞ?」
『それはやめて。アタシ生きていけなくなるから。アタシが死んだら、あんたが死ぬまで取り憑いてやるからね』
「そりゃおもしれぇや」
そう言って吉田は電話を切った。
そして、GPSの無い携帯なので、吉田は携帯会社に盗難として携帯の場所の特定を照会して、ある程度の位置を知ったのだった。
『この辺か…』
吉田は、その辺りに向けて車を走らせた。
つづく。。。
どもども♪(*´∇`)ノ
いやいや~…。
今回は大失敗しました(^^;
ある程度長~い文章を書き終えて、一旦保存をしようとしたところ、まさかのスマホがフリーズ。
(;・∀・)?えっ?嘘でしょ?冗談キツいんですけど…
どうにも出来ず…泣きながら再起動…
( TДT)
心ポッキリ折れましたが、みなさんのコメントに元気をもらい、折れた心を元に戻して何とか書き終えた第10章(*つ▽`)っミカチャンエライ♪
と、いうことで…
弱っちいくせに変なところで知恵を出す吉田(*゚ε´*)ブーブー
由美ちゃんは、吉田に復讐しようとしたのですが、かえって不味い事に…
亮介も須藤も動けない今…
兼子博之…あんただけが頼りだよ~。
と、いうことで…
次回はどういう展開に鳴るのでしょうか…。
ドキドキの次回、また読んでね♪
今回の選曲♪
【タイガー&ドラゴン】横山剣クレイジーケンバンド
剣さーん♥カッコイイ♪
今回も、最後までお付き合い
ありがとうございました♪
また来てね♪(@^^)/~~~
いつも応援ありがとうございます♪
お帰りの際に気が向いたらぽっちり一押し
宜しくお願いします♪:*(〃∇〃人)*:
テーマ : ハードボイルド
ジャンル : 小説・文学