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例えば…

2019.07.31(16:51) 316


刃のような鋭い陽射しがカーテンの隙間から射した

恐る恐る窓を開けてみた…

熱い陽射しは炎のように我が身を焦がす…

向の家の屋根に佇むアンテナに

どこから来たのか黒いカラスがしがみつく

羽を広げて口を開け

暑さに苦しむ黒いカラス…

耐えきれない暑さに街路樹に逃げ込んだ

俄に外が騒がしくなる

キーキーギャーギャー声がして

ワサワサ揺れる街路樹から

黒いカラスが飛び出した…

別の鳥に日陰から追い出されたカラスは

焼けつく陽射しに追い回されて

日陰を求めて飛び去った…



鳥には鳥の苦楽があり

猫には猫の苦楽があり

花だって雨が降らなければ枯れてしまい

雨が降りすぎれば流される

全ての命に苦楽はあり

苦楽の間に幸せがあり

幸せになろうと苦労して

幸せになっても幸せを維持しようと苦労して

生命は苦労の中で楽を見つけたりする…



暑い陽射しに甦る苦い思いで…

一昨年の夏に熱中症で倒れ

あれやこれやと病気が見つかり

見つけた病気の代わりに仕事を無くし

抱えた病気は一つ二つ三つと増えてゆき

治らない病気は少しずつ身体と気力を蝕んで

何れは朽ちるこの身体

例えば健康な身体でも

何れは終わる命なら

苦の中に楽を見つけ

苦楽の中にあるはずの

幸せ見つけて笑顔でいたい…


例えば私が鳥や猫や花に生まれ変わっても

やっぱり苦楽は着いてくるのだろう…


【ガンダーラ】ゴダイゴ
生きてる限り苦しみや悲しみは着いてくる
例えば、生きることをやめれば…
それはなくなるのかもしれない…
代わりに生きることで得られる
夢や希望は無くなる…

【八月の濡れた砂】石川セリ
昭和の素敵な曲、また見つけた♪
歌詞が深いな~

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移り行く日々の徒然に…


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シャラの木の夢…2

2019.07.30(20:40) 315


義則は、10年前に他界した妻の沙羅が残した手紙の最後に(10年)と書いて途切れている手紙の、その先を沙羅が何と書こうとしていたのか考えていた。

5年前にも同じことを考えていた義則。

当時は最愛の妻の死を義則は受け入れてはいたが、悲しみは癒されていなかった。

妻が残した手紙を読み返せば辛く、最後の言葉の(10年)という言葉の後の沙羅の想いを考えるだけで胸が締め付けられる思いだった。

その頃から義則は何となくブログを始めた。

ブログを始めた当初は、沙羅への想いだけを綴ってばかりいた。

時が経つに連れ、沙羅への想いに写真を載せるようになり、沙羅への想いを間接的表現で書くようになっていた。

そして、途切れ途切れだったブログの更新もいつの間にか定期的な更新となっていった。

そうして義則は妻への哀しみを想い出として浄化していった。

花の写真に言葉を添えるようになり、一つづつ哀しみを想い出に変換した義則の言葉には、たくさんの言霊が溢れていた。

そうして、妻と死別して10年経った今…。

改めて妻の手紙を読み返し、途切れたままの妻の最後の言葉の(10年…)という文字の続きを冷静に考えられるようになった。

『10年という言葉の前の文章が、俺に新しい彼女ができたらいい、ということか…。
10年経ったら彼女作れってことか?それだったら無理だぞ。俺が断る。
それとも10年愛し続けろってことか?それも無理だな。彼女を作れってことが無理なのはお前を愛していたいからな…。
10年も20年も…結婚したときに誓った(生涯愛し続ける)という気持ちは変わらないし…これからも変わることはないんだ。
お前の手紙の(10年)のあとに書こうとしていたのがそういう事だったら、悪いけど諦めてくれ…』

写真の中の沙羅に話しかけるように義則は写真のフレームを人差し指でポンポンと叩いた。

そしてノートパソコンをテーブルの上に置いて、さっき撮ってきた花の写真をパソコンに取り込む準備を始めた。

パソコンの中のアルバムは花の写真、風景の写真、空の写真、そして沙羅との想い出の写真が綺麗に整理されていた。

いつしか花の写真が沙羅との想い出の写真の数を大幅に越えていた。

沙羅との想い出を増やせなくなって、綺麗だった沙羅を無意識に花のイメージに変えていたのかもしれない。

ふと、そんなことを思う義則だった。

沙羅との想い出のアルバムを開く義則。

二人の想い出のアルバムは、当然の事ながら10年前から更新されなくなっていた。

今となっては義則一人の切ない想い出となった。

義則は沙羅との想い出を懐かしみ、一つ一つ写真をクリックして想い出に浸っていた。

そして、二人の想い出の中に時々写っている女性がいた。

沙羅の友人で当時は沙羅の仕事の同僚だった藤谷典子だった。

典子も綺麗な整った顔をしていた。

艶のある長く綺麗な髪と、しおらしい典子には言い寄ってくる男もいたが、沙羅が心配するくらい典子の中に男の気配は微塵も感じなかった。

『今は気楽な一人がいいんだもーん』

典子はいつもそう言っていた。

沙羅とはとても仲が良かった典子は、家にもよく遊びに来ていた。

義則に気を使いながらも、何処かへ出掛けるときは沙羅に誘われるままに着いてきていた。

感じの好い女性で、義則も気を使いすぎる典子を嫌がることなく、沙羅が典子を誘ったときは何処へでも連れていっていた。

沙羅が亡くなってからも、2ヶ月に一度は連絡を取り合っていて、今でもそれは続いている。


沙羅との想い出を一つづつ見ていた義則は、当時は気づくことがなかったが、沙羅を亡くしてから花の写真を撮り続けている今の義則には否応なしに目につくものがあった。

典子の服に着いている花のブローチ。

どの写真にも違う服にも拘わらず花のブローチが着いていた。

義則は典子の花のブローチに興味が湧き、何の花なのか画像を拡大してみた。

『ツバキだ…』

義則は思わず口に出して、今朝家に持ってきたナツツバキを見た。

『そういえば…沙羅と典子は、よく花言葉の話をしてたな…』

当時の義則は花にそれほど興味はなく、花言葉は殆どしらなかった。

沙羅の死を切っ掛けに花の写真を撮るようになり、花言葉にも少しずつ興味を持ち出してきていた。

沙羅双樹に花言葉が無いのは知っていた義則。

沙羅双樹と混同されるナツツバキの花言葉をネットで調べて、義則は思わず納得した。

ナツツバキの花言葉は儚い美。

『お前にピッタリだな』

沙羅の写真を見ながら複雑な思いで苦笑いする義則。

続けて義則は、ツバキの花言葉を調べてみた。

『控えめな愛、控えめな美、謹み深いか…しおらしい典子にピッタリだな。うむ…こりゃ花言葉というのも無視できないな…』

そんな気持ちで、更に花言葉に興味を持つ義則だった。

時間を忘れてアルバムを見ていた義則のお腹が(グゥ)と鳴った。

時計を見ると午後の12時を回ったところだった。

『おぉ…俺の腹時計はけっこう正確だな』

カップラーメンと残りご飯でラーメンライスで空腹を満たした義則。

今朝撮った花の写真をパソコンに取り込み、エアコンの効いた快適な部屋でゴロンと横になって、今朝は早起きだったせいかそのまま寝てしまった。

義則は沙羅の夢を見た。

沙羅双樹の木の下に沙羅と典子がいた。

沙羅は跳び跳ねながら義則を呼んでいた。

義則は、懐かしさに沙羅に駆け寄った。

沙羅の側には典子が居て、周りには特徴ある迷彩柄のような太い幹の沙羅双樹の木がたくさんあった。

『久し振り、義則。あなたが何時までも一人でいるからわたしは安心して天国に行けないのよ…。私、典子ならあなたのお嫁さんになっても文句はないし安心して天国に行けるの』

『ちょっ、ちょっと待ってよ沙羅!突然何言うのよ!』

焦る典子。

『典子!自分に正直になりなよ。典子が義則を好きだったことは私知ってた。
でも、義則は私の旦那さんだから典子にはどうしようもなかったのはわかってる。
そして私が死んで、てっきり典子と義則が一緒になってくれると思ってた。
でも二人とも何時までたっても一緒にならないんだもん。
私は典子が義則の奥さんになってくれるなら大賛成なんだよ?義則だって何時までも死んじゃった私のこと思っていないで?
そりゃ、思っていてくれるのは私も嬉しいし一番の供養にもなるけどさ…。
でも、私はもうあなたには何もしてあげられないの。
お洗濯だってできないし、あなたのご飯だって作れないの。
あなたの側に居ることはできるけど、それ以外はあなたに何もしてあげられないの!
典子の気持ちは以前と変わっていないのもわかってる。
ただ友達である私に気を使っているならそれは間違いなの。
私は典子さえよければ義則と一緒になってほしいと思ってる。
義則だって、これから何年も私を愛してくれるって言ってくれたけど…それはもちろん嬉しいけど…
あなたに何もしてあげられない私は心の隅に置いてくれるだけでいいから…
義則と典子の気持ちが同じになって欲しいってずっと思ってた。
私が死んで10年経っても二人が一緒になっていなかったら化けて出るからね、って手紙に書こうとしてたのよ。
できることなら二人で一緒になって欲しいって。
何時までたっても一緒にならないから私も成仏できないの!わかった?
こうして二人の意識を呼んで言えなかったことを伝えるのってすごい力消耗するんだからね!
明日、二人の答えを聞かせてほしい。
ダメならダメ、良いなら良い…
どちらかを教えてほしい。
曖昧な答えはイヤ。
以前、三人で行った琵琶湖で待ってるから…』

沙羅は泣きながら言いたいことだけを言って、二人の前から消えた。

同時に目を覚ました義則。

時計を見ると午後6時半だった。

『ありゃま…もう6時半か…けっこう寝てたな…。それにしてもリアルな感じの夢だったなー。典子と結婚しろってか…それが手紙の10年に続く言葉だったのか…。いや、自分が見た夢だから自分に都合よく解釈しちゃったんだろう。しかし、三人で琵琶湖行った事まで出てくるとは…何年前だっけ…』

そんなことを考えながら、再び寝転んだ義則の顔目掛けてナツツバキの花が一日の寿命を終えて、枝から離れ丸ごと落ちてきた。

同時に携帯が鳴って、義則は落ちてくるナツツバキの花を避け損ねた。

ナツツバキの花が当たった場所をポリポリ掻きながら携帯の画面をみて誰からの電話か確認した。

典子だった。

『もしもし、義則さん?』

『典ちゃん、久し振り。どしたの?』

『一月振りね。義則さん。突然ですが明日の日曜日って何か予定ある?』

『いや、特に無いよ』

『予定無かったら連れていってほしいとこがあるの』

『連れていってほしいとこ?いいよ。どこでもお供しまっせ』

『良かった…。断られたらどうしようと思った…。
明日、琵琶湖まで連れてってほしいの。
義則さんも一緒じゃなきゃダメなの。
夢の中で沙羅が私と義則さんを待ってるって言ってた。
3人で行った琵琶湖の場所覚えてる?』

『おいおい…典ちゃんも沙羅の夢を見たのか?もしかしたら俺と典ちゃんの結婚の事じゃないよね?俺にも、典ちゃんと一緒に琵琶湖に来てほしいようなこと言ってたぞ…』

『あっ…、それ同じ夢だと思う。て言うか夢じゃなかったのかな…』

『10年経って、典ちゃんと俺が一緒になってなかったら化けて出るからねって、あいつ言ってなかった?』

『うんうん、言ってた言ってた。も、もしかして化けて出てきたってこと?』

『その可能性は大いにある。アイツと典ちゃん沙羅双樹の木に囲まれてなかった?』

『あっ、なんか迷彩柄みたいな木には囲まれてた』

『やっぱおんなじだ…。その木は沙羅双樹って言って沙羅の名前の由来のお釈迦様に纏わる木なんだよ。アイツが言ってた琵琶湖の場所分かったよ』

『どこ?私も行った場所?』

『あぁ…、典ちゃんも確かに一緒に行ってる草津水生植物園だよ』

『あっ、思い出した…琵琶湖の畔にある植物園ね。うんうん、思い出した』

『明日早めに出よう。何時に待ち合わせる?車で迎えにいくよ』

『義則さんに合わせる!』

『分かった。朝6時に自宅に迎えにいくよ。名古屋からだと三時間くらいで着くと思う』

『わかった。お願いします』

共通の夢を見た義則と典子は沙羅の待つ琵琶湖へ向かうことになった 



続く…

次でラストになります。
今日も最後までお付きあいいただき
ありがとうございました😆💕✨
                           
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シャラの木の夢…

2019.07.29(00:00) 314


よく晴れた七月最後の週の蒸し暑い土曜日の早朝。

飯塚義則はカメラを片手にブログに載せる花の写真を撮っていた。

この場所へ来たのは2回目の義則。近くには寺があり、緑が生い茂っていて湧水で出来た小さな池から流れ出る水は、義則が歩いてきた道に沿って小川となって流れていた。

七月も終わる夏本番にも拘わらず、この場所は静かで涼しい場所だった。

義則が居る場所は、左へ行けば寺へと続く道で右へ行けば遊歩道のような車一台が通れるくらいの道だった。

義則はその分かれ道に、少し高い場所に綺麗な白い花を咲かせている木を見つけた。

緑の中にある白い花は、可憐でとても美しかった。

『おー、綺麗な花だなぁ…。ツバキに似てるけど…ツバキの時期は終わってるよなぁ…ツバキの仲間かな…』

義則はそう呟きながら白い花にカメラを向けてズームした時、不意に大きな鳥が飛び立ち一輪だけだった白い花は枝ごと折れて地面に落ちた。

『あらら…。落ちちゃったよ』

細い枝ごと地面に落ちた白い花を義則は屈んで見つめていた。

白い花を付けた小枝をつまみ上げた義則は、手に持つ花と花が咲いていた木を交互に見つめた。

『どうやらお前が最後の花みたいだな…』

花を付けていた木には、他に咲いている花が無いのを見て義則は呟いた。

そしてポケットからポケットティッシュを取り出して数枚引き抜き、白い花を付けた小枝の折れ口に巻き付けてペットボトルの水をティッシュに染み込ませ、ゴミ袋として持っていたコンビニの袋を少し破り小枝の折れ口に着いたティッシュの上から包み込んで花だけを外に出して、リュックのサイドポケットに差し込んだ。

『これでよし』

義則は一人頷き、そのまま他の花の写真を撮って車に戻り帰路についた。


一時間半程で家に着いた。

義則は家に入るなり、キッチンでコップに水を入れ本棚から花の図鑑を取り出して、テーブルに置いた。

リュックのサイドポケットから白い花の枝の部分をつまんで取り出し、折口に巻いてあるビニールとティッシュを取りコップに白い花を一輪挿しにした。

義則は、白い花と図鑑を交互に見て名前を調べた。

今はネットで調べればすぐわかるのだが、義則は名前が分からない花があると、あえてネットで調べず図鑑で花の名前を調べるのが好きだった。

『ん?この花か?』

花の特徴と咲いてる時期から(ナツツバキ)と判明した。

『ナツツバキか。別名が沙羅の木(シャラの木)…沙羅…か…』

10年前に死別した妻と同じ名前だった。

花図鑑では、沙羅(シャラ)となっているが義則の愛しい妻だった女性は沙羅(サラ)という名前だった。

45才になった義則が、沙羅という女性に出会ったのが28才の時だった。

仕事の関係で知り合い意気投合。

2年の交際のあと義則と沙羅は結婚した。

義則と沙羅は同じ歳で、共に30才になった時の結婚だった。

義則が沙羅という名前の由来を聞いたのは、二人が出会って間もないときだった。

『私の名前、父が仏教の三大聖木の生命の木の一つから持ってきたの。2本並んだ沙羅双樹(サラソウジュ)という木の下でお釈迦様が亡くなったんだって…初めて父から聞いたとき、なんだかなーって思ったんだー』

義則は相槌を打ちながら頷いて聞いていた。

『だけどね…』

沙羅は義則が自分の話で退屈していないか、こっそり確認するために言葉を切った。

『うん?だけどねの続きは?名前の由来って興味あるから聞かせてよ』

義則は沙羅に急かすように言った。

義則が退屈していないことが分かったので沙羅は話を続けた。

『うん…お釈迦様が亡くなったときに側にあった木の名前ってどうなのよ?って思ったんだけど、そこには深い意味があったの』

勿体振るように沙羅は再び話を切った。

『お釈迦様が亡くなったときに側にあった木の名前かー…ちょっと引っ掛かるとこもあるけど、お釈迦様が関係してるからな…けっこう有難い意味が含まれてるんじゃないの?早く教えろ!』

義則は笑いながら沙羅に話の続きを要求した。

『当り!あのね、お釈迦様は…人は生きている限り病や老い、死とか…様々な苦しみがあることを知ったの。
そして、お釈迦様は逃れようのない苦しみの中でも変わらない幸せというものを探し求めて、28才で出家したんだって。
35才で仏のさとりを開いてから45年間仏の教えを説いて回ったんだって。だから父は、私にいくつもの苦が訪れても人生の終わりまで幸せでいられるようにって沙羅という名前を付けてくれたの。今では大好きな名前だよ』

そう言って、にっこり笑う沙羅の笑顔は誰にも好かれる素敵な笑顔だった。

綺麗に整った顔立ちは男を寄せ付けるどころか、逆に当然彼氏は居るんだろう…と勝手に思われ言い寄る男は少なかったようだった。

少し気の強いところも男が寄り付かなかった一つの要因だったのだろう…、と義則は沙羅との想い出に一人笑みを浮かべた。

そんな沙羅の想い出に浸っていたとき、義則は沙羅の名前にお釈迦様と奇妙な繋がりがあるのに気付いた。

沙羅の名前の由来、お釈迦様の出家の歳、お釈迦様が仏のさとりを開いた歳。

そしてお釈迦様が仏の教えを説いて回った45年間。

『俺と沙羅が知り合った歳が28才、沙羅が他界して仏になったのが35才、俺の歳が45才、そして沙羅の名前の由来…』

そんなことを思った義則だったが、頭を左右に振りながら考えすぎだろう…偶然の一致だ…。

とは思いつつも、やはり気になる義則。

コップに一輪挿しのナツツバキをサイドボードの上にある沙羅の写真の横に置いた。

その時、義則は沙羅の写真の裏に沙羅が亡くなる前に義則へ書いた手紙の事を思い出した。

義則は久しぶりに手紙を見たくなり小さな写真のフレームを外し写真の裏にある手紙を取り出して広げた。

その手紙は、余命少ない中で調子の良いときに義則宛に書いた手紙だった。

その手紙を書いた日の夕方近くなって病状が悪化して、意識も戻らず5日後に沙羅は35才の若さで旅立った。

手紙の内容は子供ができなかったこと、楽しかった想い出、ご飯を作ることも洗濯もできなくなったことを義則に謝っている内容だった。

生前、沙羅は不妊症で悩んでいた。

その都度、義則は気遣う言葉をかけては沙羅を元気付けていた。

そして最後に、義則を幸せにできなくなったことを知っていた沙羅は、義則に新しい彼女ができることを願う内容が書かれていて、十年…、と書かれたところで途中で途切れていた。

寝たきりのままで最後まで書けなかった文字が当時の沙羅の辛さを物語っていた。

義則が沙羅の手紙を看護士から受け取ったのが、沙羅が手紙を書いたその日の夜だった。

仕事を早めに終えても病院に着いたのは夜の6時を回っていた。

既に沙羅は病室を出て集中治療室へと移されていた。

沙羅には病気で入院中の母親がいた。父親は既に他界していた。

そんな状況で沙羅は、母には入院していることを言わないでほしい、と言われていた義則だった。

義則も妻の沙羅の余命わずかということを知っていたので、入院中の沙羅の母には精神的にも負担をかけたくなかったので言わずにいた。

治療室で沙羅の側に居ることもできず、病院の待合室の隅で一人泣く義則は、沙羅の名前が憎らしく思えていた。

『お釈迦様よぉ…苦労や病なんて誰にもあるっていうけどよ…沙羅にはもう幸せも無いのかよ!子供ができなくて悩んで…病気も治らないなんて…そんなのアリかよ!あいつ、まだ35だぞ…何とかしてくれよ…お釈迦様よぉ…』

義則は、この時ばかりは藁にもすがる思いだった。

しかし…義則のそんな思いも届かず、それから5日後に沙羅は静かに息をひきとった。


そんな当時を思いだし、義則は沙羅との想い出を辿っていた。

そして、沙羅の最後の手紙に残された十年という言葉の続きを想像していた。



続く…

どもです(*´∇`)ノ♪
花の詩花言葉をいつもの調子で書くつもりが
ショートストーリーに変わりました♪
でも、花言葉をを交えたストーリーに
なりますので、よければ続きも読んでね♪


今日も最後までお付きあい
ありがとうございました😆💕✨

また来てね(@^^)/~~~

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恋しい秋…(言葉遊び)

2019.07.24(17:11) 313


どもです(*´∇`)ノ♪

とうとう本格的に来てしまった夏のお日さま😖💦

雲よ出ろ~

雨よふれ~

夏終われ~

秋よこい~

呪文のように呟くワタクシなのであります…


夏が大嫌いな私は、夏が過ぎた誰もいない
浜辺を想像して…

セプテンバーレインレイン~と歌いながら
秋の香りがする歌を歌いながら

紅葉を思い浮かべホワイトクリスマスを
思い浮かべ

毛穴も引き締まるほどの真冬の冷たい空気を
懐かしみ

早くこいこいお正月…

雪の降るお正月を想像しても…


電気代、気にしてエアコン切れば汗は
滴り落ちて

汗が真夏を連れてくる(。-`へ´-。)クソー



電気代の事は忘れよう…

払わなきゃいいんだ…ヘ(_ _ヘ)☆\(^^;)オイオイ



そんなわけで…

涼しいお部屋のなかで十年以上前に書いていた、今は閉鎖しているブログを読み返していたところ…

丁度今頃の時期に書いてる言葉遊びを見付けました♪

当時の私も当然のごとく夏は嫌いなわけでして…

8月に入って夏を無視して秋を待ち望む私が書いた言葉遊び…


・・・移り行く季節・・・



金色に染まる空の雲

暑いはずの八月の朝…静かに涼しい風が吹いた

群青色の空と、まだ明けきらぬ夜の名残が重なる空の下で

過ぎ行く時間の中に聞こえた微かな虫の声に聞き耳をたてた…

移り行く、情緒溢れる日本の四季の変化を感じた朝に思うのは…

もうすぐ秋…。



この言葉遊びを書くのに四時間考えたようです
( *´艸`)

まさに、今私が望んでいるもので同じ言葉が二つはいってる、ということで…

暫く考えても解らず( *´艸`)ジブンデカイタノニ

答えを探しても見つからず…

ようやく解けた一時間後(^-^;

『もうすぐ秋』という言葉が二つありますがわかります?

一つはすぐわかると思います♪

もう一つは全てひらがな読みです♪

漢字の中のひらがな含みます(*^^*)b

答えは追記で今晩に(*^-^)

ヒント…読む方向…縦横斜め逆さ読み♪


では、後程~(@^^)/~~~


【あー夏休み】TUBE

小さい頃の夏休みは想い出いっぱい♪
海山プールに盆踊り…
家族の笑い声、夏休みの宿題…
大人になって嫌いになった夏…
遠い想い出…

【盆帰り】中村雅俊


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⇒恋しい秋…(言葉遊び)の続きを読む

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切ない夜明…

2019.07.23(04:50) 312


儚く消え去る夢…

頑張れと微笑む貴女に

伸ばした手は届かず…

追いかけても追い付かず

悲しく叫ぶ自分の声…


目覚めて見上げる夜の空

貴女の手を握り

貴女の笑顔に寄り添い

貴女の温もりに包まれながら

貴女のいる場所に連れていってほしかった…

貴女の声が心に響く…

頑張れ…



夜の闇に投げつけた哀しみ

夜の空に溶かした虚しさ

自分の心にしまいこんだ切なさ…


儚い夢に誘われる苦笑い

少しずつ明るくなる空…

いつもと変わらない一日が始まる…



【切ないピアノ曲】鮎
私の今の心境にぴったりの切ない曲です。

眠りの夢は儚く…
未来を見つめる夢は遠い…
人が見る夢は切ないほどに
儚く遠い…


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人生謳詩…

2019.07.20(18:16) 310


思いはいつもちぐはぐに

通らぬ筋道迷い道

解せない思いは腹に据え

悩みと不安は消えぬまま

今日も一日が過ぎていく…



思い悩んで生きる日々

呟き怒り落ち込んで

楽しいこともあるけれど

悩みと不安は消えぬまま

今日も一日が過ぎていく…



人は生まれて産声あげて

喜び怒り哀しむも

もちろん楽しい時もある

楽しい思いに時忘れ

今日も一日が過ぎていく…



幸せ喜び不幸せ

誰にでもある心の思い

人は心に全てを背負い

棘の道に夢を見て

今日も一日が過ぎていく…



夢を見たけりゃ追えばいい

幸せ欲しけりゃ探せばいい

小さな夢で弾みをつけて

大きな夢を手に入れよう

小さな幸せたくさん集め

大きな幸せ手に入れよう

悩み落ち込み挫けても

泣いて笑って騒いでも

時の流れは止まらない

泣きたいときは泣けばいい

怒りは後に残さずに

その場で静めて穏やかに

笑顔は人を引き寄せて

つられる笑顔に笑い声

笑う門には福来る

幸福万福七福神

笑えば福から寄ってくる

片道切符の人生だから

笑って福寄せ笑顔のままで

終着駅まで辿り着ければ

それはきっと幸せな

人生だったと言えるだろう…


【マイウェイ】フランク・シナトラ
日本語の歌詞を見て心に染みました。

自分の最後なんて何時だか
分かんないよね…
自分の最後の時に、良い人生だったと
思えるように色んな事を楽しまなきゃ(*^^*) 

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ボロボロな私と、のびのびトマト💕

2019.07.17(16:29) 309


どもです(*´∇`)ノ♪

久しぶりに顔を出したお日様☀

蒸し暑いですねーι(´Д`υ)アツィー

暑い夏の前に水を溜め込む梅雨があるのは良いのですが…

今年はちょっと降りすぎなようで、日照不足に野菜の価格も上がるわけで(´-ω-`)ウーム…

そんな中…自分の身体に異常を感じたワタクシ。

手足は冷たいのに上半身がやたらと暑い☀😵💦

しかも多量の汗😃💦

上半身だけ…

しかも頭がボー😳

なんか変だぞ?

そう思いながらググるワタクシなのであります。

自己診断結果は【冷えのぼせ】と判明。

更年期というには早すぎる?ワタクシ…

更年期障害とよく似ているらしく、一番多い50代に次いで30代、20代の女性にも多く見られるようです。

原因は、自律神経失調症の一種。
冷え症は、年齢を重ねるごとに症状が悪化する傾向があるそうです。

一方、20代、30代は冷えやすい生活習慣のため、冷え症だけでなく、冷えのぼせを起こしやすい年代でもあるようですよ。

エアコン使用(えっ(^-^;) 寝不足(自覚) 露出ぎみな洋服(タンクトップにショーパンかミニスカ)

いつも部屋にいる私は、どれも当てはまるのであります。
(*´σー`)エヘヘ

上半身だけ、やたらと暑く感じる20代、30代の方は、どうぞお気をつけください。


そして、愛猫トマトですが…

七月一日に4才になった黒猫トマト♪

久し振りのお日さまに窓辺で日向ぼっこをしていたのですが…

夏の陽射しは暑いらしく(*^-^)

体調悪い私がベッドから起き上がりトイレに行って戻ってくると

私のベッドを占領…
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私が寝転がろうとすると、更にのびのび( =^ω^)
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可愛いから許す( 〃▽〃)
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トマトをちょっとずらして私が寝ると…
隣にコロンと添い寝の黒猫トマト💕
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たまりません(ノ≧▽≦)ノトマトー💕

最近着けた赤い首輪はパートナーからのプレゼント♪

時々脱走するトマトには必需品(*^^*)

初めて着けた首輪だけど特に嫌がることもなく受け入れてくれました♪

黒猫にはやっぱり赤が似合う(*^^*)オヤバカー

魔女の宅急便のジジみたい。

病気になって一日中家にいる私にとって、トマトは家族。

もし今の状況でトマトが居なかったら寂しいだろうな…と、トマトを見てると時々思う。

トマトと喧嘩もするし、トマトが甘えれば私もトマトに甘える。

いつまでも元気でいてほしい…

トマト♪4才おめでとう🎂


追伸…人間になった猫は、体調よろしくないこともあり、ただいま書いては消しての迷走中です(^-^;
暫しお待ちを…。

美香。。。

【見えない壁】可愛すぎる( 〃▽〃)
飼い主さん、お見事(ノ゚∀゚)ノ

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雨の雫…

2019.07.14(06:36) 308


降り続く雨にベランダの

手摺に溜まる雨雫

白々明ける朝に

想い出に浸りながら

今にも落ちそうに

手摺にしがみつく雫を見て

込み上げる涙…


懐かしさと寂しさ

戻らない過去を思う虚しさ

逢えない人を思う切なさ…

手摺にしがみついていた雨雫は

堪えていた涙につられて落ちた…

落ちた雫は水溜まり

いくつも落ちて広がって

晴れればやがて消えていく…


消えた想い出は

雨が降れば想い出す

日曜日の雨の日に…






どーも(*^^*)

降り続く雨の中で

眠れないまま想いに耽った

日曜日の朝…。


雨の雫に想い出映し

逆さまに写る想い出は

逆さまに写るとはいえ

戻れることなんてできない。

想い出は…さらさら落ちる

砂時計の砂のようにこれから先も

想い出は積み重なり

今日のような雨の日曜日に

度々想い出すのかな…

【思い出は美しすぎて】八神純子

【想い出まくら】小坂恭子
楽しい想い出…
悲しい想い出…
忘れてはいけない大切な想い出…
どんな想い出も何かの切っ掛けで
鮮明によみがえる…
街路樹の枯れ葉でも
雨の雫でも…

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移り行く日々の徒然に…


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人間になった猫…(あらぬ疑い)

2019.07.12(02:22) 306


二本目の映画を観終わった良樹は、壁に掛かっている時計を見上げた。

午前1時少し前だった。

公園には、もう誰も居ないだろう…

アイツに飯持っていってやらなきゃ。

良樹はそんなことを思いながら、コンビニで買った猫のご飯と自転車の鍵を手に部屋を出た。

五分ほどで公園に着いた良樹は、自転車を押しながら昨夜自分が座っていたベンチに辿り着いた。

ベンチの横に自転車を置いて、良樹はベンチに座りコンビニの袋から食べきりサイズのキャットフードを手に取り、昨夜この場所で会った猫を探し始めた。

キャットフードの袋をガサガサ音をたてたり、ねこーねこーと呼びながら昨夜の猫を探す良樹。

『そういえば、アイツどんな毛色なんだろ…真っ暗だったからよくわからなかったもんな…黒猫っぽかった気がするな』

そんなことを思いながら、ねこーねこーご飯だぞー、と小さな声で呼びながら猫を探す良樹を遠巻きに見ている猫たち。

見慣れない人間なので警戒心の強い猫たちは様子を伺っていた。

中には『ごはん』という言葉に反応して恐る恐る出てくる猫もいた。

公園の中で昨夜の猫(ミコ)を探し回る良樹。

そして、良樹は微かな猫の声を耳にした。

声の主はブチだった。

足の痛みに悲し気な声で鳴いていた。

声を頼りに近付く良樹の気配にブチは本能的に鳴くのを止めた。

ミコはレオと一緒にブチの側にいたが、お腹を空かしているブチの為に食べ物を探しにいっていた。

『猫ちゃん、ご飯だぞー。出ておいでー』

スマホのスポットライトをあちこちに照らしていた時、スポットライトに反応した二つの光。

ブチの瞳がスポットライトに反射したのだった。

『いた!』

ついさっき、怖い人間たちに追いかけられたブチ。

反射的に逃げようとしたが、痛みが増している足では起き上がる事さえ儘ならなかった。

恐怖の中で、ブチは精一杯の威嚇をした。

(ふーっ!しゃー!うぅぅ~)

怒りつつも逃げない猫を見て、良樹は不思議に思った。

逃げようと立ち上がるのだが、よろけるように倒れるのだった。

『お前怪我してるのか?怖がらなくて大丈夫だぞ?』

そう言いながら良樹は少しずつブチに近付いていった。

しかしブチは精一杯の威嚇をしていた。

ブチの声を聞いたミコは、ブチの異変を感じ全速力で暗闇を走りブチの側まできた。

ミコに気付いたブチはミコに逃げるように促すのだった。

(ミコ!逃げろ!怖い人間かもしれないぞ!捕まっちまうから早く逃げろ!)

(ブチを置いて逃げられるわけないでしょ!)

ミコはそう言いながら人間を睨み付けた。と、同時に人間の方から風に乗って人間の匂いがミコの鼻を刺激した。

(あっ!この匂い!ブチ!優しい人間だよ!心配しないで…)

ミコは睨み付ける威嚇を止め、尻尾をピンと立てて良樹に近付いていった。

良樹も、近付く猫が探していた猫だと何となくわかった。

しゃがむ良樹の足に擦り寄る猫。

あの猫だ!と良樹は確信したのだった。

『おー、やっと会えたなー』

嬉しそうにミコの頭を撫でる良樹。

『お前黒猫なんだなー。魔女の宅急便に出てくる猫とおんなじだなー』

スポットライトに照らされたミコを見て始めて黒猫だと分かった良樹。

良樹の手に甘えるミコを見てブチも安心して地面に寝転んだ。

ミコは、一頻り良樹の手に甘えるとブチのそばに行き、優しい人間だから大丈夫…とブチにいった。

良樹は、ブチを怖がらせないように少しずつ近付いていき、ブチの体をスマホのスポットライトで照らした。

ブチの体の異変はすぐにわかった。

前足が異様に腫れていた。

良樹がブチの体に触れようとした時、ブチはまた威嚇した。

(ブチ、この人間は優しい人間だから大丈夫だよ。きっとブチの痛いとこ見てくれるんだよ)

ミコはそう言ってブチの耳の辺りを優しく舐めた。

おとなしくなったブチの体を、良樹はスポットライトで照した。

右前足が酷く腫れていて足の裏の肉球はザックリと裂傷していた。

後ろ足にも深い傷があり血にまみれていた。

『酷いな…』

そう思いながらも、良樹にはどうすることもできなかった。

『お前…こんな傷じゃ飯も食えないだろ…』

良樹はキャットフードの袋を開けて自分の手のひらに乗せてブチの鼻の前に持っていった。

良樹が、いまのブチにしてあげられる精一杯の事だった。

人間に対する恐怖心から一瞬拒絶したブチだったが、ミコに促され恐る恐る良樹の手のひらに乗るキャットフードをひと粒口にした。

そして恐怖心が解けたのか、ブチはキャットフードを残らず食べた。

『お~、食欲はあるみたいだな…』

食べきりサイズのキャットフードを更に二つ開けて、袋を大きく開きミコとブチの前に置いた。

『ほら、お前には約束のご飯だぞ』

そう言って、良樹はスマホで夜間でも診てくれる動物病院を探した。

あるにはあったが、全て遠い場所だった。

車を持たない良樹にはどうすることもできなかった。

『今晩うちに来い。明日近くの動物病院連れていってやるから。俺にはそれしか思いつかないよ…』

良樹はそう言ってブチの頭を優しく撫でた。

『ちょっと待ってろな…。家に帰ってお前を運ぶ段ボール探してくるからな』

そう言って、良樹はキャットフードを多目に置いて自転車の置いてある場所に戻っていった。

自転車が見えるとこまで来ると、街灯の灯りに二人の人影が見えた。

『ん?』

近付いていくと人影の正体がわかった。

二人の人影は良樹に気付くと声をかけてきた。

『こんばんは。この自転車あなたのですか?』

警察だった。

めんどくせー…、そう思いながら良樹は自分の自転車だと言った。

『申し訳ありませんが登録番号照会させてくださいね。何か身分証お持ちですか?』

丁寧な警官の言葉だが眼光は鋭かった。

『身分証はいま持ってないです』

良樹は応えた。 

『ここで何されてたのですか?』

『猫を探しに来てました』

『猫…ですか…』

そう言いながら二人の警官はチラリとアイコンタクトをしたように良樹には見えた。

一人の警官が自転車の登録番号を照会しつつ良樹を上から下まで見ていた。

『ポケットの中のもの見せてもらえますか?』

『どうぞ。何も入ってませんよ』

警官は良樹のズボンのポケットの上から軽く触れた。

『自宅はどちらですか?』

自転車の登録番号を照会していた警官が良樹に住所を尋ねた。

『⭕⭕町の⭕⭕⭕―⭕⭕ ⭕⭕ハイツ205です』

登録番号照会をしていた警官は無線で良樹の言った住所を告げていた。

『お名前は?』

『松原良樹です』

『この鍵の暗証番号わかりますよね?』

ずっと良樹に聴取していた警官が、良樹の自転車に付いている暗証番号付の鍵を指差した。

『もちろんです。俺の自転車ですから』

良樹はそう言って暗証番号付の鍵をあっさり外して見せた。

そして登録番号照会をしていた警官が良樹の側に来た。

『あなたの自転車で間違いないようですね。いや、どうもすみませんでした…。ところで…』

やっと職質が終わると思った良樹は警官の言った『ところで…』という言葉に、心の中で舌打ちをした。

『まだ何か?』

良樹は不満げな顔を露にした。

『実はですね…先ほどここの公園で猫を虐待している人達がいるという通報がありまして…何かご存じないかと思いまして…』

『虐待?知りませんねー』

『聞いたことないですか…』

『はい』

良樹は素直に応えた。

『お探しの猫は見つかりましたか?』

『えぇ、見つかりましたよ』

『因みにどんな猫ですか?毛色とかは…?』

『黒猫でしたねー』

『でしたね?あなたの猫ではないのですか?』

警官は良樹の言葉に不信感を露にした。

『えぇ、野良ですよ。昨夜このベンチで座っていたら猫が近付いてきたのでカバンに入っていたソーセージをあげたんですよ。可愛い猫でね。今日も飯持って来てやるって約束してたので持ってきてあげただけですよ』

『そうですか…ここの野良猫には虐待通報の後に野良猫の苦情も入ってましてね…猫に餌をあげる人がいたら注意してほしいと言われてまして…。今巡回中なのですよ』

警官の言葉に思い当たることが良樹にはあった。

さっきの猫の餌を片付けていた奴等だな…と良樹は思っていた。

しかし、その事を言えば話が長くなりそうだったので言わずにいた。

『そういった苦情が出てる以上我々としても…猫には罪は無いんですがね…私も猫は飼っているので猫の可愛さは十分わかっています。餌をあげる人が無くならないと役所に野良猫の駆除をお願いする、と言われてまして…』

警官の言葉には猫に対する同情も見え隠れしているのが良樹には分かった。

『なるほど…駆除されたら猫もたまったもんじゃないですよね…。里親見つからなきゃ殺処分だし…わかりました。ご飯はあげないようにします。ただ、酷い怪我をしている猫がいるので連れていきたいのです。家に戻って段ボール持ってまた来ますので…』

『怪我をしてる猫?まさか本当に虐待?その猫どこにいるのですか?』

『少し奥に入ったところです』

良樹が振り返り指を指した。

『申し訳ないのですが、その場所まで連れていってもらえますか?』

警官は良樹の眼を真っ直ぐに見ていた。

まさかこの警官俺を猫の虐待者だと思ってるのか?

警官の眼は相変わらず鋭かった。

『おとなしくさせておいて下さい。知らない人が近付くと傷が痛くても無理して逃げようとしちゃいますから…。もしどうしてもって言うなら俺が家に帰って段ボール持ってくるまで待ってもらえますか?』

『どのくらいで来れますか?』

『往復で10分位ですね』

警官は少し考えていた。

『わかりました、。松原さんが戻るまで待っていますよ』

『そうですか。分かりました。なるべく早く戻ってきます』

『お願いします』

警官二人に眼を合わせた良樹は自転車に跨がり自宅へ向かった。



続く…😸

このお話の中で、警察官を嫌う言葉が出ていますが警察官は、それが仕事なので自分に不都合なことが無ければ素直に応じましょう♪
私も夜遊びしていた頃は、よく職務質問受けていました( *´艸`)
素直に嘘なく応じればすぐに済みます♪
(経験談)


今日も最後まで読んでいただき
ありがとうございました😆💕✨

よかったらまた来てね(@^^)/~~~


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移り行く日々の徒然に…


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雨の七夕…

2019.07.08(15:03) 305


雨降り七夕空の上

流れる川は天の川

年に一度の橋掛けて

逢えた二人の忍ぶ愛…



雨降り七夕濡れた街

小さな箱の家の中

愛し温もり情溢れ

二人の間に川は無し…



一夜過ごした時の中

またねと手を降り遠ざかる

あなたを見送る私の手には

小指に結んだ赤い糸…



空に流れる天の川

地上に流れる時の川

時の流れに愛しさ募り

偲ぶ想いは天の川…






どもです(*´∇`)ノ♪

昨日は七月七日の七夕でしたが、あいにくの雨降りで天の川も見られなかった方も多いと思います。

まぁ、晴れたからといって汚れた横浜の空に星は数えるほどしか見えません(/。\)

しかしながら、織姫と彦星にとっては誰にも見られない、という好条件?( *´艸`)ムフッ♥

まぁ…私とパートナーも…(*ノ∀`*)みたいな♪

私の体を気遣ってくれるパートナーには感謝の気持ちでいっぱいです。

いずれ、赤い糸は天の川のようにぐるぐる回り絡まりながら、パートナーと私は結ばれ、ほどけなくなればいいなーなんて思ってます♪

そんなわけで、今回の記事の曲が決まりました♪

『糸』平原綾香

それではこのへんで…

今日も最後まで読んでいただき
ありがとうございました😆💕✨

また来てね(@^^)/~~~

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2019年07月
  1. 例えば…(07/31)
  2. シャラの木の夢…2(07/30)
  3. シャラの木の夢…(07/29)
  4. 恋しい秋…(言葉遊び)(07/24)
  5. 切ない夜明…(07/23)
  6. 人生謳詩…(07/20)
  7. ボロボロな私と、のびのびトマト💕(07/17)
  8. 雨の雫…(07/14)
  9. 人間になった猫…(あらぬ疑い)(07/12)
  10. 雨の七夕…(07/08)
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