雄二、浩二、悟志、絵理、美香の5人は、格安のバンガローを見つけ、それぞれが会社のお盆休みを合わせて【海辺のバンガロー】へ行くこととなった。
しかし、その海辺のバンガローには幽霊がでる、という噂があった。
だが、5人は…出る、という噂を知りながらも【海辺のバンガロー】へと向かうのであります。
待ち受ける恐怖…忍び寄る陰…そして…
飛び交う悲鳴…ヽ(;゚;Д;゚;; )ギャァァァ
では…続きをどうぞ…👻
浩二達5人の乗った車は、バンガローまであと五キロの所まで来ていた。
そして、そこから道路は未舗装になっていて、砂利は敷いてあるものの、数年は整備されていないようで、所々に大きな轍ができていた。
『すげー道悪だな…』
浩二は体を左右に振られながらも、大きな轍だけは巧みに避けながら車を走らせていた。
道幅は相変わらず狭く、狭い道に覆い被さるように林道の左右の草木が、時折、車のボディーをなぞるようにカサカサと音をたて、低く垂れ下がった木々の枝は…車の屋根を…コンコン…コツン…と乾いた音をたてて叩いていた。
そして、5人の乗る車の前方に太い木の枝が、道の上に張り出していた。
その枝の木の葉に上手く隠れている一人のお化けがいた。
『ひっひっひ…奴らの車がこの下に来たら、屋根に乗って、人間の子供に化けたこの手を横のガラスにペタッと貼り付けて脅かしてやるぜ…いや、待てよ…顔を半分だけ見せるのもいいかもな…よし♪それでいこう♪』
木の枝に隠れている、人間の女の子に化けたお化けは車が自分の下に来るのを、息を潜めて待っていた。
しかし、車はお化けが隠れている道に張りだした木の枝の数メートル手前で停まったのだった。
『あれ?なんでそんな中途半端な所で停まるんだよ~…』
お化けは、既に15分ほど木の枝にしがみついていた。
蚊に刺され、蛇に驚き蝉にオシッコをかけられながらの15分…
お化けが動く度に、ユサユサと枝が揺れていた。
その頃、5人の乗った車内では…。
『浩二~、ストップストップ~♪ちょっとオシッコ(^_^;)』
一番後ろの席の悟志が車を停めさせたのだった。
『わり~わり~♪すぐ終わるからさ♪』
悟志は、真ん中の席のウォークスルーを抜け、絵理の横のドアから外に出た。
『俺も~♪』
『俺もしてこ~♪』
雄二と浩二も外に出た。
『うわっ!』
『ひぇ~』
『半端ね~な!この蚊の大群(^_^;)』
外に出た男達は、矢継ぎ早に声をあげた。
『絵理!虫除けスプレー貸して!』
絵理は窓を少し開けて虫除けスプレーを悟志に渡した。
3人が、それぞれ体にスプレーをかけると、蚊は3人を遠巻きにぶんぶん飛んでいた。
スプレーを絵理に返し、3人は車に背を向けた。
『これで、心置きなくションベンできるぜ』
『だな~♪』
『うんうん♪』
3人は、ハーフパンツの前を開けて用を足そうとしたとき、遠巻きに飛んでいた蚊が3人の股間目掛けてまとわりついてきた。
『わーわー( ;`Д´)』
浩二が慌てて股間を手で隠したw
『ちょっ、この蚊挑戦的だなっ!俺は耳なし芳一かよ~(^_^;)』
雄二も慌てて股間を手で隠した。
『絵理ーっ!○ん○んにスプレーかけて~…』
雄二が叫んだ。
『絵理ー、俺も~♪』
浩二は嬉しそうに言った(^_^;)
『じゃ、俺は美香に頼もう♪美香~♪スプレーかけて~♪』
悟志は、後ろを振り返り車の中の二人を見た。
『勝手に刺されてろっ!w』
絵理は窓を少し開けて.美香と口を揃えて言ったのだった(*^.^*)
『そうだ、いい方法があるぞ♪』
悟志が横を向き二人を見た。
『何だよいい方法って…蚊に刺されないのか?』
雄二が悟志の顔を見た。
『おぅ♪多分なw尻文字書きながらすれば大丈夫w動いてりゃ蚊は止まらねぇだろ』
『尻文字って…宴会とかで時々コンパニオンがするやつか?w』
『そうそう、何とかの何とかはどう書くの?こー書いてこー書いてこー書くの♪ってやつw』
『あ~♪それ知ってる知ってる♪よ~し、やってみよ』
3人は横に一列に並び、一斉に放尿開始w
『あのね、のあの字はどう書くの?』
悟志の第一声w
『こー書いてこー書いてこー書くの♪』
3人は声を揃えてお尻で『あ』の文字を書くのだったw
『あっ!雄二っ!もうちょっと離れろよ~、ひっかかるだろーw』
『いーじゃねーか、ちょっとくらいひっかかったってw』
あーだの、こーだの言いながら3人は子供のように騒いでいた。
『まったく…男って生き物は…( ̄▽ ̄;)』
絵理が呟くと…
『いくつになっても子供だわ┐(-。-;)┌』
続けて美香が呟いた。
そして…
そんな3人を見ている者が絵理と美香の他にもう一人いた。
道端の茂みに向かい小用をしている3人の、ほぼ正面の木の陰に隠れて5人の様子を伺っていた、女のお化け。
『…まったく…3本そろっ…あっ(*ノ∀`*)マチガエタ…3人揃って何やってんだか(///∇///)』
女のお化けは顔を赤らめて、3人を見てから改めて悟志を見つめた。
よくよく見れば、 どことなく生き別れた彼氏に似ていた。
女のお化けは、不慮の事故でこの世を去り、彼氏への未練が強く残り、幽霊となり…いつも彼氏を見守っていたが、数年後に彼に新しい彼女が出来たことで、哀しみと未練の塊となった魂は、成仏できずにこの世をさ迷い…
何時しか、このバンガローの地へ辿り着いた。
そして…更に数年がたち…
強く残った未練と哀しみは、彼女の魂を徐々に実体化していき、自分の存在を彼氏に知ってほしいという願望が彼女を妖怪へと変貌させてしまった。
彼女の見た目は雪女のように綺麗な容姿をしていた。
自分が妖怪に変貌したことも忘れ、彼女は彼に自分の存在を知ってほしく、彼に会いに行った。
しかし、彼氏と生き別れて数年が経っていたので、彼は…既に結婚していて子供にも恵まれていたのだった。
彼女の哀しみは…深い深い哀しみとなり、幸せそうな人を見ると幸せを分けてほしくて人前に現れては手招きをするようになったのだった。
彼女は、このバンガローの地へ戻り、他のお化けや幽霊達と静かにこの地に住み着いていた。
そんな彼女は、元彼にどことなく似ている悟志を見て、数年ぶりに笑顔を見せたのだった。
そして、車の中に居る絵理と美香に敵意のある冷たい眼差しを向けた。
『あの二人は…彼に近付かせない…』
彼女は、そう呟いて…車の中に居る絵理と美香に邪念を送って自分の存在を見せつけようとした。
そんなことは知らずに、いつしか絵理と美香は、車の前方に見える道に張りだした木の枝を見ていた。
先程から不自然に揺れている木の枝に美香が気が付き、絵理の肩を突っついた。
『絵理…あの木の枝見て…あの枝だけ不自然に揺れてるんだよね…』
美香は不安な表情を浮かべて前方を指差した。
『ほんとだ…』
絵理は、すぐにバッグからデジカメを取り出し、写真を数枚撮った。
その時だった。
雄二、浩二、悟志の3人が車に戻ってきた。
前方の木の枝を注視していた絵理は、不意に悟志が開けた車のスライドドアにびっくりして、悟志の方を見てシャッターを押してしまった。
『お待たせ~♪』
悟志はドアを閉めて後部座席に戻った。
『あんた達、ちゃんと手を洗いなさい!』
絵理が男達3人に、ペットボトルの水を渡した。
そして、絵理が悟志にペットボトルを渡した時に…
絵理は、何とも言えない哀しみに包まれて自分でも、訳がわからず涙が溢れてきた。
『どうしたの絵理…』
美香が、突然涙を流した絵理の顔を心配そうに覗きこんだ。
『わかんない…なんか…急に哀しい気持ちになっちゃって…』
と、その時だった。
5人の乗った車の前方に見える、道に張り出している木の枝が、バキバキっと音をたてて折れた。
車内の5人は、一斉に前方をみた。
折れた木の枝は、浩二達に、これ以上先には行くな…と、言わんばかりに完全に道を塞いだ。
(くちょ~…いて~…思いきり頭から落ちた(*T^T))
おかっぱ頭の着物を着た女の子に化けていたお化けは、頭から落ちたため、頭のてっぺんは、ほぼ平らになり顔の鼻と口は体に埋もれ、両目だけがキョロキョロ動いていた。
(う~、顔が埋もれた…痛い…)
化けてる時のお化けの体は、すぐに元に戻れるように、とても柔らかいのだった。
(あ、あれっ?首が…元に戻らないぞ…( ;`Д´))
男のお化けは、自分の顔を両手で引っ張りあげるのだが、ズッポリ体にめり込んだ顔の半分は、容易に元に戻らなかった。
元に戻るには化けた時と同じ形でなければならない。
なので、今のお化けの状態では元に戻ることができなかった。
その時、車の中から雄二、浩二、悟志の3人が降りてきた。
(ま、まずい…あいつら降りてきたぞ…(;゜゜))
お化けは、そぉ~~っと木の葉の隙間から顔を出した。
幸い、雄二、浩二、悟志の3人は、お化けが隠れている道を塞いだ木の枝に背中を向けて、それぞれが訳のわからないポーズをとっていた。
とりあえず男3人記念撮影、ということで…スマホで3人が自撮りしていたのだった。
『さ~~て…この木の枝どうすっか…3人なら何とか引き摺って、そこの脇に寄せられそうだな』
悟志が3メートル程先にある右側の窪みを指差した。
『そこまでなら3人でいけそうだな!』
浩二も窪みを見て、枝が折れた部分を持ち上げようとした。
持てる所は折れた部分しかなかった。折れた部分から先は折れた太い枝からいくつも伸びている枝に葉っぱが密集していたのだった。
お化けは、その葉っぱの中に身を隠していた。
3人は枝の折れた部分を持ち、引摺り始めた。
(な、なんだ…こいつらなにする気だ?)
お化けは不安に陥った。
『よ~~し!この窪みに落としちまおうぜ!』
そして、そこまでの一部始終を見ていた女のお化け。
男のお化けが枝を折り、道を塞いだのを見て小さくガッツポーズをしたのだが…
事の成り行きを見ていて焦りだした( ;`Д´)
『あれは…わざと木の枝を折ったんじゃないのか…折れたんだ…早く逃げないとあそこから落とされちゃうじゃん…まぁ…お化けだから死ぬことはないけど…あの窪みの下は崖だし…お化けって言っても痛みは感じるからな~…よし、ここはアタシの妖術を使って、究極の哀しみを味あわせてやる!先ずはあの男から…』
女のお化けは、浩二に自分の哀しみを送り込んだ。
『やっぱり辞めようぜ…この木を落とすの…』
浩二が突然木の枝を離した。
『ん?どした?浩二…』
雄二が浩二を見ると、浩二は涙を溢し哀しげな顔で、横たわる木の枝を見つめていた。
『よし、次はあの男だ…』
女のお化けは雄二にも、自分の哀しみを送り込もうとした。
だが、上手くいかなかった。
『ん?なぜ妖術が送り込めないんだ?もう一度やってみよ…』
女のお化けは、もう一度力を込めて哀しみを雄二に送り込もうとした。
しかし、やはりダメだった。
車内で、お清めと称して悟志から受け取った日本酒が効を成したのだった。
その時、悟志が妙な気配を感じとって頭をぐるりと回らせ、やがて一点を見つめたのだった。
悟志の視線は、女のお化けがいる場所に向いていた。
女のお化けの姿は、鬱蒼とした茂みに隠れていて悟志からは見えなかったが、女のお化けは悟志の顔はハッキリと見えていた。
幸せの絶頂期に、自分が不慮の事故で生き別れた彼氏に似ている悟志を見つめていた女のお化け。
つい先程の、3本…いや…w3人の放尿シーンが頭を過った。
女のお化けの哀しみは消え、エッチな気分に照れ笑いを浮かべる女のお化け。
彼女の心とリンクしている浩二もまた、エッチな気分に顔がにやけていた。
そして、男がエッチな気分になれば…極自然に生理的現象が体に現れるわけで…(*ノ∀`*)
浩二はハーフパンツの前をモッコリさせるのだった(///∇///)
そんな浩二を見て、女のお化けは恥じらいを見せた。
『私ってば、はしたない…彼に嫌われちゃう…』
何年か振りに笑顔を思い出させてくれた悟志に、彼女の中で恋心が芽生えたのだった。
もちろん一方的な片想いで…悟志には彼女の気持ちは勿論、存在さえも知るよしもなかった。
彼女は浩二にかけた妖術(呪い?)を解いた。
『浩二…お前…どした?泣いてたと思ったらニヤニヤし出してよ…』
悟志は浩二の顔を覗きこんだ。
『ん?何々?どしたの?』
女のお化けの呪い?が解けた浩二は自分を取り戻した。
『泣いてたと思ったらニヤニヤして股間モッコリだしさw』
雄二が浩二の股間を指差した。
『えっ?えぇ~~!なんでー?w』
浩二は股間を手で押え横を向いた。
『お前…雄二のこと考えてたんじゃね~のぉ~♪お前ら二人はちゅ~した仲だもんな~♪』
悟志が浩二をからかった。
『ば、バカ言ってんじゃね~よ…(〃 ̄ー ̄〃)』
否定はするが、何故か照れる浩二。
『だ~か~ら~…なんで照れるんだよw誤解されんだろw』
雄二が浩二の頭をペチンと叩いた。
『ほらほら、恋人同士の痴話喧嘩はそのくらいにして、この木の枝を窪みに落とそうぜ』
悟志が枝の折れた部分を持ち上げようとした。
『誰が恋人だっちゅーのっ!w』
そう言って、雄二と浩二も木の枝の折れた部分を持ち上げた。
浩二は、運転していたため【お清め】と称した悟志の日本酒を飲めなかったため容易に女のお化けの呪い?に掛かってしまったのだった。
(えっ?👀‼落とすの?そこから?そこの下は…が、崖なんですけど…)
男のお化けは、木の枝に足が挟まったまま引き摺られて窪みの前に置かれた。
『よ~~し!あとは、ここから少しずらせば車は通れるだろう』
そう言いながら、悟志は太い枝の折れた部分を蹴りだした。
雄二と浩二も、木の枝を蹴りだした。
『よし!もうちょいだっ!』
悟志は二人に声をかけた。
雄二と浩二は、枝の真ん中と先の方に分かれ枝をずらしていった。
(や、やめて…落とさないで…)
男のお化けは半べそ状態。
叫びたいが、口も鼻も体にめり込んでいるので声に出せない。
3人は、枝を蹴ったり押したりで枝はズルズル落ち始めた。
(あっ、あ~っ!いやだーっ!)
男のお化けは、挟まっていた足が外れ足をバタバタさせた。
『うわっ‼』
浩二が、何かに驚いたように大きな声をあげた。
と、同時に枝は…落ちた。
(ぎゃあーーーー…)
当然お化けも…声に出せない悲鳴をあげて落ちたのだった。
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テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学